「微笑みのうつ病」とは
正式な医学用語ではないが「微笑みのうつ病ーsmiling depression」という症状がある。
「社会順応型境界性パーソナリティ障害」というべき症状で、「ベッドから起き上がれない・何もしようと思わない」というような通常のイメージのうつの症状とは大きく違う。
毎日、職場に行けるし、そこでは元気な従業員として振る舞うこともできる。同僚とランチを楽しんだり、週末遊ぶ計画を立てて盛り上がれるのだが、その間も心ここに在らずといった空虚感を覚えてしまうのだ。
仕事はキチンとこなすのだが、家に帰ると異常な疲労感に襲われてしまったりする。
読者の中にも心当たりがある人もいるのではないだろうか。
その蓄積により、いつしか心に深刻なダメージを受けてしまうのだが、周囲の人はまったく気付かない。
なぜならば、いつもみんなと一緒に楽しそうに過ごしているからである。
「微笑みのうつ病」になってしまう人ほど、みんなとの協調性を大事にしようとするし、いつも相手の事を考えて行動しようともするし、不機嫌な顔などしてはいけないという強迫観念にとらわれている。そんな無理してまで、「みんなと一緒」にいる自分を演じるから心が壊されてしまうのだ。
これこそ「群れという病」といってもいいのではないかとも思う。