今日、会計の知識は、あらゆるビジネスパーソンにとって必要なものとなっています。税理士・民間企業の経理担当役員で人気簿記講師でもある石川和男氏が、著書『決算書は、「ここ」しか読まない 企業の伸びしろを1分で見抜く「読み方のルール」』(PHP研究所)から、決算書の「読むべき項目」や「順番」について、誰にでもわかりやすく解説します。
「経常利益」の計算方法
営業利益に営業外収益を足して営業外費用を差し引いた利益を「経常利益」といいます。
たとえば、受取利息が1,000円、支払利息が3,000円なら
営業利益+営業外収益-営業外費用=経常利益
28万円+1,000円-3,000円=27万8,000円(経常利益)
この経常利益に特別利益を足して特別損失を差し引いた利益を「税引前当期純利益」といいます。
土地売却益が3万円、火災損失が2万円なら
経常利益+特別利益-特別損失=税引前当期純利益
27万8,000円+3万円-2万円=28万8,000円(税引前当期純利益)
最後に、法人税、住民税及び事業税という3種類の税金を引いた利益が、最終の利益「当期純利益」です。
税金が10万円なら
税引前当期純利益-法人税、住民税及び事業税=当期純利益
28万8,000円-10万円=18万8,000円
18万8,000円が当期純利益になります。
これらの1年間の経営成績を「3つの収益」、「5つの費用」、「5つの利益」に分けて、利害関係者に報告しています。何百万もの報告書を見る人を想定して、分かりやすく、見やすく、統一された書類を作らなければならないのです。
こうして作られた計算書こそ、損益計算書なのです。
英語では「Profit and Loss statement」といい、略して「P/L」といいます。
「Profit」は「利益」、「Loss」は「損失」、「statement」は「計算書」。
つまり「利益」や「損失」を「計算した報告書」で「損益計算書」……そのままの意味です。
■Point!
収益、費用、利益の種類を押さえよう!
3つの収益……売上高、営業外収益、特別利益
5つの費用……売上原価、販売費及び一般管理費、営業外費用、特別損失、法人税、住民税及び事業税
5つの利益……売上総利益、営業利益、経常利益、税引前当期純利益、当期純利益
石川 和男
合格率No.1簿記講師・税理士・建設会社総務経理担当役員
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合格率No.1簿記講師・税理士・建設会社総務経理担当役員
合格率No.1簿記講師、税理士、建設会社総務経理担当役員。
1968年北海道生まれ。埼玉県在住。「偏差値30、名前を書けば全員合格」と言われた高校・大学を卒業後、建設会社に入社。経理部に配属されるが、簿記の知識はゼロ。上司に叱られ怒鳴られ、意志の弱さから毎日飲み歩き遊びまくりの生活を続け、気づいたときには30代に。そんな不安を打ち消すため、一念発起して日商簿記3級の勉強を始める。その後、日商簿記2級、宅地建物取引業主任者試験、1級建設業経理士と、難易度を上げながらなんとか合格。
建設会社退職後、税理士試験に挑戦するも2年で一度挫折。しかし、通っていた大手専門学校で講師として採用される。当時35歳という年齢での採用は異例の抜擢だったが、はじめて受け持った担当クラスが全員合格。偏差値30から教える立場になったという経歴から、理解できない気持ちが理解できる講師と評判になり人気講師に。
また、建設業経理事務士や宅地建物取引業主任者資格を持っていたため建設会社にも就職。2年間無職だった生活から、土日は専門学校の講師、平日は建設会社の総務経理を担当するまでに。最終的に、3年間休止していた税理士試験にも再度挑戦し合格。
偏差値30の全員合格の高校を卒業してから35年目の現在、税理士、建設会社で総務経理を担当しながら、簿記講師として全国各地でセミナーを開催している。
『会計の用語図鑑』(KADOKAWA)、『仕事が「速いリーダー」と「遅いリーダー」の習慣』『「残業しないチーム」と「残業だらけチーム」の習慣』(ともに明日香出版社)、『仕事が速い人は、「これ」しかやらない』(PHP研究所)など著書多数。
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