今日、会計の知識は、あらゆるビジネスパーソンにとって必要なものとなっています。税理士・民間企業の経理担当役員で人気簿記講師でもある石川和男氏が、著書『決算書は、「ここ」しか読まない 企業の伸びしろを1分で見抜く「読み方のルール」』(PHP研究所)から、決算書の「読むべき項目」や「順番」について、誰にでもわかりやすく解説します。
収益、費用、利益の種類を知ろう
どんな小さな会社でも、起業すると、複雑な会計処理が必要になります。
そこで、まず、押さえておくべき収益、費用、利益それぞれの中身、「3つの収益、5つの費用、5つの利益」についてザックリ分かるように説明します。
たとえば、自社で1年間に100円の消しゴムを1万個販売したとします。
@100円×1万個=100万円分が売れました。
当社は消しゴム専門店です。消しゴムの販売が本業です。本業での販売高のことを「売上高」といいます。
この売上高を計上するためには、消しゴムを購入した費用も算出しなければなりません。売上高に直接対応する費用を「売上原価」といいます。
1個70円で購入した商品がすべて売れた場合、
@70円×1万個=70万円が売上原価です。すると
売上高-売上原価=売上総利益
100万円-70万円=30万円
売上高から売上原価を差し引いた利益を「売上総利益」といいます。通称、「粗利」とも呼ばれています。
しかし、売上高を計上するためには、売上原価だけではなく、ほかにも犠牲になっている費用があります。
たとえば、従業員に支払う給料。従業員が店頭で販売したり、レジを打ったり、営業先を開拓してくれるお陰で、消しゴムを売ることができます。つまり収益を得ることができます。
給料は収益を得るために犠牲になった支出なので費用です。
当社は路地裏の目立たないところにあるので、ホームページで宣伝し、新聞の折り込み広告も行っています。宣伝をすることで存在に気づいてもらい、消しゴムが売れます。広告宣伝費も、収益を得るために犠牲になった支出(費用)です。
車の保険に入っているから安心して営業活動ができる。火災や地震に備えて保険に入っているから安心して商品を陳列できる。自動車や火災などの保険料も収益を得るために犠牲になった支出(費用)です。
同じ理由で、通信費(電話やFAXがあるからお客さまや取引先と連絡が取れる)、保管費(消しゴムを保管する場所があるからすぐお客さまに売ることができる)なども支出(費用)です。
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合格率No.1簿記講師・税理士・建設会社総務経理担当役員
合格率No.1簿記講師、税理士、建設会社総務経理担当役員。
1968年北海道生まれ。埼玉県在住。「偏差値30、名前を書けば全員合格」と言われた高校・大学を卒業後、建設会社に入社。経理部に配属されるが、簿記の知識はゼロ。上司に叱られ怒鳴られ、意志の弱さから毎日飲み歩き遊びまくりの生活を続け、気づいたときには30代に。そんな不安を打ち消すため、一念発起して日商簿記3級の勉強を始める。その後、日商簿記2級、宅地建物取引業主任者試験、1級建設業経理士と、難易度を上げながらなんとか合格。
建設会社退職後、税理士試験に挑戦するも2年で一度挫折。しかし、通っていた大手専門学校で講師として採用される。当時35歳という年齢での採用は異例の抜擢だったが、はじめて受け持った担当クラスが全員合格。偏差値30から教える立場になったという経歴から、理解できない気持ちが理解できる講師と評判になり人気講師に。
また、建設業経理事務士や宅地建物取引業主任者資格を持っていたため建設会社にも就職。2年間無職だった生活から、土日は専門学校の講師、平日は建設会社の総務経理を担当するまでに。最終的に、3年間休止していた税理士試験にも再度挑戦し合格。
偏差値30の全員合格の高校を卒業してから35年目の現在、税理士、建設会社で総務経理を担当しながら、簿記講師として全国各地でセミナーを開催している。
『会計の用語図鑑』(KADOKAWA)、『仕事が「速いリーダー」と「遅いリーダー」の習慣』『「残業しないチーム」と「残業だらけチーム」の習慣』(ともに明日香出版社)、『仕事が速い人は、「これ」しかやらない』(PHP研究所)など著書多数。
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