(※画像はイメージです/PIXTA)

消費税の「インボイス制度」の施行が2023年10月1日に迫っていますが、施行により電気代が値上がりすることになりそうです。一見関係なさそうですが、なぜでしょうか。問題点とともに解説します。

なぜインボイス制度が「電気代値上げ」につながるのか?

◆消費税の「仕入税額控除」とは

なぜ、インボイス制度が施行されると電気代値上げにつながるのでしょうか。

 

それを理解するには、前提として、消費税の「仕入税額控除」の理解が必要です。

 

消費税は、事業者が納税義務を負う税金です。ただし、年間売上高が1,000万円以下等の一定の要件に該当する事業者は「免税事業者」であり、納税義務を負いません。

 

そして、消費税の計算方法には以下の2種類があります。

 

【消費税の計算方法】

・仕入税額控除(本則課税)

・簡易課税制度

 

このうち、「仕入税額控除」(本則課税)は、年間売上高5,000万円以上の事業者に適用される計算方法です。

 

「売上金額」に含まれる「消費税相当額」から、「仕入額」に含まれる「消費税相当額」を控除し、その額を納税するというものです。所得の計算において「売上」から「経費」を差し引くのと同じです。

 

◆消費税のインボイス制度とは何か

次に、消費税のインボイス制度についても簡単に説明します。

 

インボイス制度は上述した「仕入税額控除」に関するルールです。仕入税額控除を行うには、仕入の際に「消費税相当額」を支払ったことを証明する資料として、仕入先からインボイス(適格請求書)を受け取る必要があります。

 

インボイスを発行できるのは、消費税の「課税事業者」のみです。年間売上高1,000万円以下の「免税事業者」は「インボイス」を発行できません。

 

◆「インボイス制度」が「電気代値上げ」につながるしくみ

では、インボイス制度がなぜ電気代の値上がりにつながるのでしょうか。

 

これは、「FIT(固定価格買取制度)」と関わっています。

 

「FIT」は、太陽光発電設備によって発電された「余剰電力」を、電力会社があらかじめ決まった価格で買い取る制度です。

 

「FIT」で電力を買い取っている大手電力会社は、売上高の規模からして、すべてが消費税の計算について「仕入税額控除」を行っています。

 

これに対し、「FIT」で余剰電力を電力会社に販売している「売電業者」の多くは、消費税の「免税事業者」です(ちなみに、一般家庭の場合はそもそも事業者ではないので、消費税の課税対象外です)。

 

したがって、インボイス制度が施行されると、電力会社は、電力を買い取る際に、免税事業者である「売電業者」からインボイスを受け取れず、「仕入税額控除」ができなくなってしまうのです。

 

これによって、電力会社には、従来であれば「仕入税額控除」できていたはずの金額について、損失が発生することになります。

 

そして、現在、その損失を電気料金値上げによってカバーすることが検討されているのです。

 

その内容は、電気料金の一部である「再エネ賦課金」(再生可能エネルギー発電促進賦課金)に上乗せして、一般契約者から徴収することでまかなうというものです。

 

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