年寄りの感想もしくは愚痴
書籍では若者と対比して年長者という言葉を選択しましたが、本当は年寄りにしたいと思っていました。しかしやはり語弊があるようです。相撲の世界では若年寄という地位があるくらいですからよい言葉だと思います。
ここでは少しパロディとして、日頃なかなか口に出せない感想から、その違和感をあぶり出してみたいと思い、あえて年寄りという表現を使うことをお許しください。
あくまで年寄りは蔑称ではなく、これまである程度働いてきて物事も一定程度わかるようになり、実年齢ではなく、若者に(なんだかなー)と感じている人たちです。
現在のように若いことに価値があると思われていると、若者の状態やつらさに焦点が当たり、年寄りはそれを何とかする側としてしか登場しません。その(なんだかなー)という思いを口にすると「アウト!」と言われかねません。
しかし年齢や考え方の違いはあっても同じく働いている人間であり、職業関係以上の義理はありません。
そうは言っても、この(なんだかなー)は理解し合える同僚同士の愚痴になります。そして相対的には年寄りの数のほうが多く、また職場的には権力があることが多いので、このような感想を表立って言ってはいけないという暗黙の了解があるかもしれません。
またイジメ対策の反動もあってか、少しでも否定的なことを言うと「悪口!」と言われます。しかしあえてこの隙間を取り上げてみたいと思います。
“スキマ産業”的な話ですが、このコロナパンデミックで働き方や経済や社会が変わって行くのではないかと思われている昨今、これから働くことのガス抜きに少しでもなってくれればいいなと思います。
今回取り上げる、このような若者の状態は、30年くらい前からかもしれません。当時私は病院の医療福祉相談室に勤めていました。
ある日看護部長から相談室に内線電話があり、新任の秘書が倒れたので来てほしいと言うのです。相談室に電話が来たのだから、心臓発作で倒れたわけではないでしょう。同僚の男性相談員に
「倒れたって…、部長がガーッて言って倒れちゃったんじゃないの? ほら、過呼吸ってやつじゃない?」
と話しつつ、やさしい彼はレスキューに向かいましたが、予想的中、いろいろ慰めたようですが、新任秘書はほどなく退職しました。