米銀の今後…大幅な引き当てでも「資本で吸収可能」
[図表8]では、米銀が今後、融資の引き当てを増やした場合に、それが株主資本のどの程度に相当するのかを試算したものです。
【1番左の棒】が、米銀による直近の融資残高です。【左から2番目の棒】は1つ目の試算で、融資の引当率が、現状の水準(1.6%)からリーマン危機時のピーク水準(3.5%)にまで引き上げられると仮定した場合の追加の損失額の規模(試算)を示しています。
【右から2番目の棒】が2つ目の試算で、現状の引当率に加えて、商業用不動産融資の10%、それ以外の融資の2%を追加的に引き当てると仮定した場合の追加の損失額の規模(試算)です。
いずれも、【1番右の棒】に示す株主資本の金額に比べると、必ずしも過大ではなく、今後、時間をかけて資本基盤を回復させていけば、資本で吸収することは十分可能でしょう。
*重要な確認として、これらの追加損失(試算)は(それが仮に実現する場合には)、①1四半期で全額が費用認識されるわけではなく、数年にわたって認識されていきます。
また、➁処理に数年の時間をかけるあいだに、正常な債権から得られる利息収入など(=利益)と相殺されます。合わせて、利下げや景気の回復とともに、不良債権の一部は「要注意先」や「正常先」へと好転していきます。
言い換えれば、これらの追加損失(試算)は文字どおり、「損失」の面だけを考えており(=(「利益」の面を無視しており)、これらの数値をそのまま株主資本から差し引いて「残った規模」だけを考えることは適切ではありません。)あくまで追加損失の規模感を測るために参考までに例示するものです。