(※写真はイメージです/PIXTA)

交通事故で自身に過失がなく、怪我を負った場合、運が悪いといえるかもしれません。さらにちょうどそのタイミングに負った怪我が原因で決まっていた話が白紙になってしまったら…。単に悪運の連鎖と捉える前に、法的にカバーできることはないものなのでしょうか。実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、交通事故における休業損害の認定について、河井浩志弁護士に解説していただきました。

過失ゼロの追突事故も求職中理由に「休業損害なし」

相談者のおかこさん(女性・仮名)は、交通事故に遭いました。赤信号で停車中に追突されたのです。状況はドライブレコーダーでも確認し、おかこさん側の過失がゼロであることは確認されています。

 

ところが、相手の任意保険会社からは「無職扱いになるので休業損害はなし」と思わぬ通告が。

 

確かに当時、おかこさんはパワハラで仕事を辞めており、求職中でした。とはいえ、事故の2ヵ月後から派遣で働くことが決まっていました。ただ、その話も事故で負った怪我によるリハビリのため延期に…。

 

上記のような場合でも休業損害は認められないことに、おかこさんはやりきれない思いを抱いています。

 

なんとか不服を晴らしたいと紛争処理センターの活用も検討しています。

 

そこで、相談者のおかこさんは、ココナラ法律相談「法律Q&A」に次の2点について相談しました。

 

(1)事故が原因で復職が延期になっても、休業損害は認められないのか。
 

(2)復職が延期になった慰謝料を請求することは可能か。

復職が延期になった場合でも休業損害を請求できる

休業損害とは、事故のために仕事を休み、収入が減少したことに対する賠償のことです。

 

したがって、事故時に無職だった場合には、交通事故で怪我を負ったとしても、原則として休業損害を請求することはできません。

 

もっとも、無職であっても、求職中であるなど、就労の意欲・就労能力・就労の蓋然性が認められる場合には、休業損害を請求できるケースがあります。

 

具体的には、無職になる前の就労状況、無職の期間、求職活動の具体的状況、内定の有無等様々な事情を総合的に判断する必要があります。

 

今回のケースでは、求職中ではあったものの2ヵ月後から派遣で働くことが決まっており、事故のために就労開始時期が延期になってしまっていますので、その期間分、休業損害を請求できる可能性があります。

 

怪我の程度や治療状況、復職後の就労内容から、復職を延期する必要性・相当性があるのかについては、別途判断されることになるでしょう。

 

例えば、軽傷だったのに復職期間を何ヵ月も延期したとしても、復職を延期する必要性・相当性がないため、休業損害を請求することはできません。

 

また、復職が延期になったことそのものに対しての慰謝料は請求できませんが、怪我をして通院している期間に応じて、慰謝料を請求することができます。

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