6.為替
<現状>
円相場は米ドルに対し上昇しました。SVBの破綻を契機に金融不安が高まったことから投資家がリスク回避姿勢を強めるなか、安全通貨とされる円が買われました。金融不安の高まりでFRBの利上げ長期化観測が後退し、米長期金利が大きく低下したことを受けて、円の対米ドルレートは、前月末の136円台から、一時130円台まで上昇しました。その後金融不安が和らいだことから反落し、月末は1ドル=133円台で終了しました。一方、円の対ユーロレートはほぼ横ばいでした。ECBが利上げを継続し、高い金利水準を維持するとの見方からユーロが対米ドルで上昇したことが背景とみられます。また、円は、利上げ観測が後退した豪ドルに対し大きく上昇しました。
<見通し>
円の対米ドルレートは、FRBの利上げが最終段階に入りつつあるとみられることから、もみあいながら緩やかに上昇する展開を予想します。FRBの利上げは継続しているものの、先行きは米国の景気とインフレが鈍化するため、FRBの利上げ停止が意識され、円が小幅に上昇する展開を予想しています。円の対ユーロレートは、概ねレンジ内でもみ合いながら、緩やかに上昇すると予想します。ECBのタカ派姿勢がユーロのサポート要因となる一方、日銀の金融政策修正が円の買い材料となるとみています。また、円の対豪ドルレートは、もみ合う展開を予想しています。相対的に堅調な豪州景気がサポート要因となる一方、日銀の金融政策修正が意識されるためです。
7.リート
<現状>
グローバルリート市場(米ドルベース)は、欧米の金融不安の高まりで、投資家のリスク回避姿勢が強まったことから下落しました。米国のリート市場は、FRBの利上げ停止観測から米長期金利が大きく低下したものの、金融不安に伴う信用収縮などを懸念した売りが優勢となり、下落しました。欧州のリート市場も金融不安の高まりを嫌気して下落しました。日本やアジアのリート市場も同様に、軟調な展開となりました。S&Pグローバルリート指数(米ドルベース)のリターンは前月末比▲3.5%となりました。また、為替効果がマイナスに寄与し、円ベースのリターンは同▲5.7%となりました。
<見通し>
米国リート市場は、FRBの利上げ打ち止め観測と先行きの景気後退が意識され、当面不安定な動きになることが見込まれます。ただし、米国経済はリセッションに陥るとしても、比較的軽微なものにとどまるとみられます。景気後退懸念が和らげば、米国リート市場は緩やかに上昇するとみています。欧州リート市場は、ECBによる引き締め姿勢から上値の重い展開を想定します。ただし、中長期では財政支出による景気回復とともに持ち直すとみています。日本リート市場は、景気回復の動きが続くものの、日銀の金融政策の不透明感から当面レンジ内でもみ合うとみています。アジア・オセアニアリート市場は、景気回復に伴いシンガポール中心に緩やかに上昇するとみています。