3.金融政策
<現状>
FRBは、3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を4.50~4.75%から4.75~5.00%へ引き上げました。米銀の相次ぐ破綻を受けて金融不安が高まりましたが、インフレの抑制を優先し、0.25%の利上げを実施しました。ECBは3月の理事会で、3会合連続となる0.50%の大幅利上げを決めました。保有資産の圧縮については、6月にかけて月150億ユーロ規模で削減する方針です。日銀は、黒田東彦総裁にとって最後の定例会合となる3月の金融政策決定会合で、大規模な金融緩和策の維持を決めました。また、国会で次期日銀総裁として植田和男氏の起用が承認されました。
<見通し>
FRBは、5月に0.25%の利上げを実施し、FF金利の最終的な到達点(ターミナルレート)として5.00~5.25%まで引き上げた後、年内はFF金利を据え置くと想定しています。ECBは、高止まりしている食品価格やコアインフレを抑制するため、利上げを続ける見通しです。5月、6月にそれぞれ0.50%の利上げ、7月に0.25%の利上げを実施し、預金ファシリティ金利を4.25%まで引き上げた後、据え置くと見込んでいます。日銀は、新総裁就任後の4-6月に長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)における長期金利の変動許容幅を±1%程度に拡大すると予想しています。
4.債券
<現状>
主要国の債券市場は、SVBの経営破綻を契機とした金融不安の高まりで堅調な展開となり、10年国債利回り(長期金利)が大きく低下しました。米国の長期金利は、3月10日にSVBが破綻したことを受けて、金融システム全体に波及するリスクへの懸念が高まり、安全資産とされる債券の買いが膨らんだことから、急低下しました。FRBは22日のFOMCで0.25%の利上げを実施したものの、先行きの利上げ停止が意識され、米長期金利は低水準でもみ合いました。ドイツの長期金利も、金融不安に伴うリスク回避姿勢の高まりで、大きく低下しました。日本の長期金利も、欧米の金利低下を受けて、大幅に低下しました。投資適格社債については、金融不安の高まりから国債と社債の利回り格差が拡大しました。
<見通し>
米国の長期金利は、振れを伴いながら緩やかに低下する展開を予想します。底堅い雇用や粘着質のインフレが続くものの、金融不安の高まりで金融環境が引き締まることから、FRBの利上げ停止が視野に入ってきたとみられます。先行きはインフレの鈍化と景気減速が見込まれ、緩やかに低下する展開を予想します。欧州の長期金利も、賃上げによるインフレ圧力などからECBが金融引き締め姿勢を続けるものの、米長期金利に連れて緩やかに低下する展開を予想します。日本の長期金利は、新総裁就任後の日銀の政策修正により長期金利の許容変動幅が拡大され、先行き上昇する展開を予想しています。