リファラル採用が会社のパフォーマンスを高める
▶なぜ「つながり」で採用がアップデートされるのか?
海外ではリファラル採用が語られる際に、「Talent know talent」という言葉が使われることがあります。直訳すると〝才能(優秀な人材)は才能(優秀な人材)を知っている〟ということです。実際に、プロフェッショナル人材の4割は自身の人脈やつながりによる口コミで情報収集しているというデータもあります。
企業がリファラル採用でつながりをうまく活用すると、競合と戦わない採用を実現し、企業競争力を高めることができます。一方で、社員のつながりで友人・知人にアプローチする手法であるリファラル採用にはデメリット(留意点)もあります。導入に際しては、メリットとデメリットをきちんと理解する必要があります。
■リファラル採用のメリット
リファラル採用のメリットは大きく4つあります。
1つ目は、転職潜在層へのアプローチが可能となり、市場に出てこない優秀な人材を獲得できることです。たまたま前職の同僚と飲みに行ったタイミングで仕事の相談を受け、リファラル採用につながったということはよくある事例でしょう。
2つ目は、ミスマッチを抑制し、入社後の定着率を高められることです。自社で働く従業員は、現場で求められる経験や人物像と友人・知人の経験や人物像の双方をよく理解したうえで紹介できるため、マッチングの精度が高くなります。
3つ目は、自社をおすすめしたいと思えるような「仕組みづくり」から考えていくことになり、そして従業員が自社のよさを友人・知人に語ることで、その経験を通じて組織のエンゲージメントが高まっていくことです。
4つ目は、いわずもがなですが、採用広告をマス向けに打つようなことがなくなるので、採用コストを削減できることです。
まとめると、リファラル採用は優秀な人材をミスマッチなく獲得でき、またそういった仲間集めを全社員で行っていくことでエンゲージメントが高まる、非常に費用対効果の高い採用手法だといえるのです。
■リファラル採用が組織にもたらす効果
リファラル採用の費用対効果や定着率の高さについては、ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、従業員エンゲージメントが向上するという点については、初めて耳にする方も多いかもしれません。
そこで、紹介活動がもたらす組織効果について、もう少し詳しく説明したいと思います。
「組織市民行動」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?
少し耳慣れない概念かもしれません。
組織市民行動とは、会社のためになる自発的な役割外行動を指します。例えば、「職場に落ちているゴミを拾う」「新入社員が困っていたらサポートしてあげる」などの本来の自分の役割を超えた組織行動のことです。
組織市民行動を行うほどエンゲージメントが向上し、さらには、組織市民行動を行う人が多いほど会社のパフォーマンスが高まることが、これまでの多くの研究から示されています。組織はあらかじめ定められた役割行動だけでは成立しません。役割外行動を主体的に行う人がいれば、会社が円滑に回るようになり、経営的な成果にもつながるのです。
紹介行動、すなわち、自社を友人・知人に宣伝するリファラル採用は、組織市民行動の1つであるといえます。
会社として紹介行動をとる従業員を増やすことは、組織市民行動をとる従業員を増やすことにもなり、会社のパフォーマンスを高めることにもつながっていきます。
リファラル採用に力を入れることは、採用の成果につながることはもちろん、会社の成長にも影響を与える非常に重要な組織戦略なのです。