(写真はイメージです/PIXTA)

今年2月、某芸能人が、検索で出てきた画像をSNSに無断転載し著作権侵害をしていたとしてニュースになりました。このように、度々報道される「著作権違反」のニュースですが、「どこまでがOKで、どこからがNGか」著作物の線引きのルールがいまいちわかっていないという人も多いのではないでしょうか。今回は、Authense法律事務所の西尾公伸弁護士が、法律にもとづく著作物の引用についてくわしく解説します。

著作権を侵害された!とれる法的手段は?

自社や自分のコンテンツが引用のルールに則らずに転載されるなど著作権を侵害されている場合には、どのような対応を取ればよいのでしょうか?

 

著作権を侵害された場合に取り得る主な法的対応は、次のとおりです。

 

弁護士へ相談する

著作権の侵害について法的対応を検討している場合には、まず著作権にくわしい弁護士へご相談いただくことをおすすめします。ご自身のみで著作権の侵害の事実を法的に整理し、相手に対して適切な法的制裁を科すことは容易ではないためです。

 

差止請求をする

著作権を侵害された場合には、著作権を侵害しているコンテンツの差し止め請求が最優先となることが多いでしょう。

 

たとえば、著作物である文章が適切な引用の体によらず盗用されているのであれば、そのウェブサイトの公開を停止したり該当部分の削除をしたりすることを求めるなどが挙げられます。

 

損害賠償をする

著作権の侵害に対しては、損害賠償請求をすることもひとつの選択肢となります。損害賠償請求とは、著作権の侵害によって被った損害を相手に金銭で賠償してもらう民事の請求です。

 

認められる損害賠償額は著作権の侵害の態様などによってさまざまですので、あらかじめ弁護士へご相談のうえ、そのケースで想定される適正額を把握したうえで請求するとよいでしょう。

 

刑事告訴をする

著作権を侵害された場合、相手を刑事告訴することも法的対応のひとつとなります。刑事告訴とは、相手が罪を犯していることを警察や検察に申告し、処罰を求める意思表示のことです。

 

著作権の侵害は、刑事罰の対象となります。著作権の侵害で有罪となった場合、法定刑は10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金です(119条)。また、侵害者が法人である場合には、法人の代表者を罰するほか、法人に対して3億円以下の罰金が科される可能性があります(124条)。

 

著作権の侵害のうち、一部は告訴がなくても起訴できる非親告罪となりました。

 

しかし、たとえばファンの間で著作権の侵害が大きく問題視されるような有名作品についての著作権の侵害などでない限り、検察側が告訴なしに積極的に著作権の侵害を取り締まることは期待できません。

 

そもそも、検察側からすればどれがオリジナルであり、どれが盗用であるのかわからないケースも少なくないでしょう。

 

そのため、実際にはほとんどのケースで、相手を著作権法上の罪に問うためには被害者側からの告訴が必要になるといえます。

 

◆まとめ

原則として、他人の著作物を無断で使用することはできません。ただし、適切な引用のルールに従うことで、必要な範囲に限り他者のコンテンツを使用することが可能となります。

 

引用のルールを誤れば単なる無断使用として著作権の侵害に該当する可能性がありますので、引用ルールについてしっかりと理解し、適切な引用をするよう注意しましょう。

 

また、自社のコンテンツが引用の範囲を超えて他者に無断盗用されている場合には、法的手段をとることが検討できます。この場合には、弁護士へ早期にご相談いただくことがおすすめです。

 

 

西尾 公伸

Authense法律事務所

弁護士

 

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※本記事はAuthense企業法務のブログ・コラムを転載したものです。

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