(写真はイメージです/PIXTA)

今年2月、某芸能人が、検索で出てきた画像をSNSに無断転載し著作権侵害をしていたとしてニュースになりました。このように、度々報道される「著作権違反」のニュースですが、「どこまでがOKで、どこからがNGか」著作物の線引きのルールがいまいちわかっていないという人も多いのではないでしょうか。今回は、Authense法律事務所の西尾公伸弁護士が、法律にもとづく著作物の引用についてくわしく解説します。

無断転載厳禁!著作権が「発生している」もの

著作権が発生している著作物は、原則として無断で利用することはできません。

 

著作権の対象となる著作物は、非常に幅広く設定されています。有名な小説や絵画などはもちろんのこと、以下のものも、思想または感情を創作的に表現したものであれば著作物に該当し、著作権が発生します。

 

新聞や雑誌の記事

新聞や雑誌の記事は、原則として著作物に該当し、著作権が発生しています。先ほど解説した「事実の伝達にすぎない」ものは著作物ではなく著作権の対象とされないものの、大半の記事はこれには該当しません。

 

また、新聞や雑誌に掲載されている写真も、著作物に該当し、著作権が発生し得ます。

 

個人や企業のブログ記事

著作権の対象は、いわゆる「芸術作品」などに限定されているわけではありません。そのため、企業や個人が執筆したブログ記事なども、著作物に該当し、著作権が発生し得ます。

 

SNSに個人が投稿した絵や写真

著作権の対象となるかどうかに、著作者が著名であるかどうかは関係ありません。そのため、一般個人がSNS上に投稿した写真やイラストなども、著作物に該当し、著作権が発生し得ます。

 

なお、「上手い・下手」も関係がなく、たとえ幼児が描いた絵であっても、著作物に該当し得ます。

 

地図

原則として、地図は、著作物に該当し、著作権が発生します。そのため、たとえばGoogle マップを無断で会社の広告物に印刷して利用することは、著作権侵害となります

※ Google マップ&Google Earth:印刷物での使用

 

なお、Google マップなどはリンクを設置してホームページに埋め込むことができ、この方法であれば、原則として著作権の侵害とはなりません。

 

判例の解説

先ほど解説したように、判例自体は著作権の対象となりません。そのため、判例集などは自由に作成したり販売したりすることが可能です。

 

一方、たとえば弁護士が判例を解説した記事などは、著作権の対象となります。

「著作権のある著作物」を利用する方法

著作権が発生している著作物を利用する方法は、次のとおりです。

 

許諾を得る

もっとも基本となる方法は、著作権者から許諾を得ることです。許諾を得て所定の利用料を支払うことで、著作権者と取り決めた範囲において著作物を利用することが可能となります。

 

私的利用にとどめる

著作物の利用が私的利用にとどまる場合には、著作物を自由に複製し、利用することが可能です。たとえば、自分の文章力向上のために小説をすべて書き写したり、気に入った書籍を兄弟にも読んでもらうために全文のコピーをしたりすることは、著作権侵害とはなりません。

 

ただし、たとえば会社の部署内に新聞のコピーを配布することや、個人で運営する趣味のブログに著作物を掲載することは私的利用の範囲を超えており、著作権侵害となる可能性が高いでしょう。

 

私的利用を理由に著作物を無断で利用しようとする際には、その行為が本当に私的利用といえるのかどうか、あらかじめ確認することをおすすめします。

 

適正に引用する

著作物を適法に利用する3つ目の方法は、適正に引用をすることです。適正な引用を行えば、著作権者の許諾や利用料の支払いをすることなく著作物を利用することができます。

 

適正な引用方法は、次でくわしく解説します。

 

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※本記事はAuthense企業法務のブログ・コラムを転載したものです。

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