そもそも「著作権」とは
著作権とは、絵画や小説、曲、写真などの著作物を創作した人(「著作者」といいます)や、著作者などから権利を譲り受けた人が持っている、著作物に関する権利です。
「著作権」とは、実はひとつの権利ではありません。
まず、広義の「著作権」のなかには、狭義の「著作権(財産権)」と、著作者人格権が存在します。
そして、狭義の著作権(財産権)のなかには、著作物を印刷などで複製する「複製権」やウェブサイト上に掲載する「公衆送信権」、二次的著作物を創作する権利である「翻訳権」や「翻案権」など、さまざまな権利が含まれています。
これらの権利は、たとえば「複製権」のみを譲渡するなど、権利の一部を移転することも可能です。
また、「著作者人格権」には、次の3つが含まれます。
◆公表権:著作物を公表するかどうかなどを決める権利
◆氏名表示権:著作者の氏名表示の要否などを決める権利
◆同一性保持権:著作物を勝手に改変されない権利
著作者人格権は著作者固有の権利であり、譲渡などをすることはできません。
「著作権」はひとつの権利ではありませんので、著作権フリー素材を利用する際には、どの権利が「フリー」となっているのかよく確認したうえで利用する必要があります。
「著作権フリー」の3パターン
著作権フリーとは一般的に、利用に伴い著作権者から許諾を得て、かつ利用料を支払う必要のない著作物です。
一口に著作権フリーといっても、これには次の3つのパターンが存在します。
著作権者が著作権放棄
1つ目のパターンは、著作権者が著作権の全部または一部を放棄しているケースです。この場合、ある著作物を利用するにあたって著作権者から利用許諾を得る必要はないですし、利用料の支払いも求められません。
以下、この記事ではこのパターンを念頭に置いて解説します。
なお、著作権の放棄まではしておらず、単に利用料の支払いを求めない「ロイヤリティフリー」という意味で「著作権フリー」と表記している場合も少なくありません。
特に、無料で素材をダウンロードして利用できるいわゆる「著作権フリー素材サイト」の大半は、著作権者が著作権の放棄まではしておらず、ロイヤリティフリーであることに注意が必要です。※1
著作権の保護期間満了
著作権には保護期間が定められており、この期間を経過することで著作権フリーとなります。
著作権の保護期間は、原則として著作者(「著作権者」ではなく、著作物を製作した者を意味する「著作者」です)の死後70年です。
ただし、死亡の概念がない団体名義の著作物や多くの関係者が携わる映画の著作物は、原則として公表後70年とされています。※2
※2 公益社団法人著作権情報センター:著作権の保護期間はどれだけ?
そもそも著作権の対象外
次のものは著作物ではあるものの、著作権の対象とはなりません(著作権法13条)。
◆憲法その他の法令
◆告示、訓令、通達など
◆裁判所の判決、決定、命令、審判など
◆上記の翻訳物および編集物で、国や地方公共団体などが作成するもの
そのため、これらは特に誰かに許可を得ることなく、自由に利用することが可能です。
なお、法律の条文や判例には著作権がないものの、これらを解説した記事には著作権がありますので、誤解のないよう注意しましょう。
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