中国に広がる「お一人様経済」…その実態とは
中国企業の経営について理解するためには、その顧客である中国消費者が「何を求めているのか」に感度を持つことが有効である。
中国では「一人っ子政策世代」(1979~2014年生まれ)の独身比率が高まっている。未婚者に占める男性比率が高いこともあるが、都市の若者を中心に自らのキャリアや生活スタイルを優先する意識が高まっていることも要因の一つだとされる。
経済力があり、情報感度も高い彼ら「お一人様」が新消費をリードすることへの期待から「お一人様経済圏」という言葉も生まれ、日本の消費財メーカー、サービス企業も注目している。
筆者は企業人として上海や北京に駐在した際に、とても魅力的な「お一人様」たち(男性、女性)と出会った。容姿端麗、社交性もあり学歴・社会的ステータスも伴った彼ら・彼女らがなぜ結婚しないのだろうかと不思議で仕方がなかった。
そんな筆者自身の疑問を解き明かすために、12人の「お一人様」に率直な質問をぶつけてみた(※対象者および調査方法を本記事末尾に記す)。
(Q1)なぜ、独身経済が広がっていると思いますか? あなた自身と友人の状況に基づき率直に教えてください。
(Q2)何にお金を使いたいですか? どんなサービスがあれば嬉しいですか?
(Q3)独身でいることの困りごとや不安はありますか? どのように解消していますか?
(Q4)独身者向けにサービスを行う企業へのアドバイスをお願いします。
本記事は、ヒアリング結果に基づいて中国の「お一人様」の実像を浮き彫りにし、示唆を提示することを目的とする。協力してくれた12人は大都市に居住する高学歴者に偏っており、必ずしも中国の「お一人様」を一般化しているとはいえないが、このセグメントの特徴としてお読みいただきたい。
“お一人様”たちの価値観
12人の「お一人様」は、中国の経済社会の発展についていくことに必死で、高プレッシャーの中で忙しく働いている。だから、時間効率を大切にし、お金をかけてでも「便利で快適」を得たい。
生活の質や「自分らしさ」にこだわり、「ちょっと贅沢して楽しもう!」という感覚に合ったサービスや、経営理念に共感を持てるサービスを求めている。結婚願望がないわけではなく、「理想の相手が見つからない、けれども妥協はしたくない」ために今に至っている。
孤独や将来に向けた不安を感じることも多く、ペットによる癒しや、一人でも生きていけるよう自己投資(学び、健康)にお金をかけている。
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