(※画像はイメージです/PIXTA)

トップが絶対に正しいという観念の「中国企業」と、大胆な意思決定ができない「日本企業」。それぞれが直面する課題とは一体なんでしょうか? NTTデータ経営研究所グローバルビジネス推進センターのシニアスペシャリスト岡野寿彦氏が、日中企業の比較分析から紐解いていきます。

中国的経営・日本的経営…それぞれの本質と強さ/弱さ

本記事では、中国的経営と日本的経営との比較分析を整理する。日本企業がポジショニングと地域戦略の策定およびその実行において拠って立つべき経営の原理を明らかにする。

 

企業の成り立ちと組織構造

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

■中国企業:「権力格差」を受け入れる

中国企業は、経営トップと創業コアメンバーの何らかの「目的達成」のために、プロジェクト型の性格を持つ組織として設立される傾向がある。その組織構造は「経営トップ+コアメンバー」から成るエリート層が方針を示し、社員が人海戦術的に実行する「二層構造」を特徴とする。

 

社員がエリート層との間で「権力格差」の存在を受け入れる度合いが大きく、絶対的な権限を持つ経営トップ(リーダー)のトップダウンによる意思決定・統制のもとで、メンバーの強い目標達成意欲を糾合することを特徴とする「権威主義的なマネジメント」が行われる。

 

企業外に広がる「圏子」(運命共同体的グループ)の影響を受けて、短期の成果を求められる傾向も見られる。企業の成り立ちと組織構造から、企業としての継続性が弱い、または重きを置かれない傾向がある。

 

国家と企業との関係において、企業は国家戦略の担い手としての役割を期待される。これは中国企業に機会と脅威の両面のインパクトを及ぼす。また、企業が努力した結果得られた成果の帰属に関するルールに不透明感があることは、中国企業の構造的なリスクとなっている。 

 

■日本企業:「権力格差」が小さな階層構造

一方、日本企業は、経営者と社員との共同体として、企業そのものの維持繁栄を目標として設立・運営される傾向がある。

 

社員と企業との一体性が特徴であり、社員の企業への帰属意識は比較的高く、会社も社員を守ろうとする志向が強い。その組織構造は、「権力格差」が小さな階層構造と社員のネットワークとを特徴とし、顧客、パートナーとの長期的リレーションシップを重視する傾向が強い。

 

企業の成り立ちと組織構造に関する中国企業と日本企業との比較分析を図表1にまとめる。

 

(出所)ヒアリングに基づき筆者作成。
[図表1]企業の成り立ちと組織構造:中国企業と日本企業の比較分析 (出所)ヒアリングに基づき筆者作成。

 

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中国的経営イン・デジタル 中国企業の強さと弱さ

中国的経営イン・デジタル 中国企業の強さと弱さ

岡野 寿彦

日経BP 日本経済新聞出版

中国的経営の原理とは? 日本的経営とどう違うのか? 先進IT企業のケーススタディを通して、中国企業の「型」を解き明かし、日本企業にとっての教訓をさぐる。 なぜ中国企業は「両利きの経営」を目指すのか?  ●政府…

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