Amazonから問いかけられている、DX成功の命題
日本のメディアが「DX化」「DX推進」と騒ぐ前から、AmazonはさまざまなDXプロジェクトを成功させています。そこから我々が学べることは、以下のようなことでしょう。
いちばん面倒な「会社の土壌作り」に真剣に向き合えるか?
DX化を成功させるためには、地道な土壌作りが大切です。会社の状況によっては、理念を見直し、行動指針を立て直し、新しい技術と向き合い、都度従業員の理解を得る必要があります。一朝一夕で完了できるものではありません。しかしながら、Amazonのようなグローバル企業はこれらの地道な努力を怠らず、現在のポジションを築いています。
経済産業省が警鐘を鳴らすように、数年後、日本は「2025年の崖」に直面します。すでに行動している会社もあれば、「なんだかんだなんとかなるだろう」と考えている会社経営者も大勢いらっしゃいます。「アリとキリギリス」の童話のように、地道な努力を続けている会社こそが今後も生き残り続けると思料します。
顧客体験を向上させるための「大量の仕掛け」はあるか?
今回、紹介したAmazonのDXは、例外なくこれまでにない画期的な顧客体験を提供しています。サービスを利用する顧客目線で見ると、非常に魅力的なものばかりでしょう。
企業理念に「顧客視点」を標榜するように、Amazonは顧客が求めているもの、感じているペイン(痛み)に真正面から対峙しています。また、それらの根拠となるデータを取得するために、最先端の技術(AIカメラ、センサー技術、クラウドサービス、IoT重量計など)を駆使し、速度感を持ってビックデータ解析を行い、「顧客がいま求めているものはなにか」を定量的に把握しているのです。
質問紙調査やインタビュー調査だけでなく、あらゆるところに顧客接点(仕掛け)を作り、データをかき集め、そこから最適解を導出するところにAmazonの本質的な強さがあるはずです。
明瞭な「投資対効果」の分析、撤退基準の設定ができるか?
企業として活動していくためには、「財務体力」が非常に重要になります。各プロジェクトに対する投資を、ROI(Return On Investment)の観点からしっかりと分析・検証・評価することが重要です。
ただ数値的な把握をするのではなく、市場動向や定性的評価(たとえば、サービスの新規性や斬新さ、ユーザ反応など)といったあらゆる指標を見ながら、今後の行く末を決定します。
ここでも役に立つものが、顧客から取得したビックデータです。データがあるからこそ、サービスの将来性が見えますし、次なる意思決定がしやすくなるのです。日本ではまだデータ経営が進んでいるとはいえません。現状、どのようなデータが会社内部に蓄積されていて、どのようなデータが取得できていないのか、またどうすれば未取得のデータを収集できるのかなど、データ基盤の整備から始めていきましょう。
■まとめ
今回は、AmazonのDX事例やDXに成功した理由などを解説しました。AmazonはDXに力を入れている企業としては世界有数の企業です。ぜひ、Amazonの成功体験をもとに、自社の新たなDXを検討してみてはいかがでしょうか。
日向野 卓也
株式会社GeNEE
代表取締役社長
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