「地球上で最もお客様を大切にする企業、そして地球上で最高の雇用主となり、地球上で最も安全な職場を提供すること」を企業理念とするAmazon.com, Inc(以下、Amazon)。同社は理念実現のため、世の中の常識を変える多くの挑戦を成功させてきました。その挑戦に欠かせなかったのが「攻めのDX」だと、株式会社GeNEE代表取締役社長の日向野卓也氏はいいます。Amazonが成功させてきた“桁違い”の取組みの数々と、その成功要因について、詳しくみていきましょう。
世界に先駆けて「攻めのDX」に成功した3つの理由
AmazonがDXで成功している理由は、1つではありません。なかでも、特に重要と思われる要素を3つ紹介します。
1.前例のない分野への積極的な研究投資
Amazonは、前例のない物事に対して積極的に取り組んでいて、莫大な研究費用を新しいビジネスモデル開発に投じています。一方で、時折ニュース等でも報じられるように日本の大企業は利益剰余金を貯め込んでいる現状があります。
真のDXを成功させるためには、やはり惜しみない努力と積極的な投資が必要になることは間違いありません。
2.失敗を許容する社風・文化
冒頭でも少し触れましたが、Amazonには「リーダーシップ・プリンシプル」という行動指針があります。そのなかには、「ビジネスにおいては『巧遅拙速(スピード)』が重要」、「なにごとにおいても妥協せずに高い水準を目指すこと」、「貪欲に学び積極的に挑戦すること」などが記されています。
また、「新しいサービスやアイデアを普及させる際、それらが長期間にわたって外部の理解が得られなかったとしても受け入れる」といった、会社の寛容的な姿勢も明文化されています。
DXは、正解があるものではありません。試行錯誤しながら体現していくものです。Amazonは10年、20年といった長いスパンをかけて、失敗を許容する社風・文化を社内の深部まで浸透させてきたと考えます。
3.投資対効果分析の正確性と迅速な経営判断
ただやみくもに研究投資を行い、失敗を許容していてもDXが成功するとはいえません。Amazonは、投資対効果の分析を緻密に実施しながら、迅速な経営判断を行っています。
各プロジェクトを必要なタイミングで徹底的に検証・評価し、想定リターンが得られないプロジェクトからはプロジェクト開始前に定めた基準に従って撤退し、一定の基準値を満たすプロジェクトにはさらなる追加投資を行ってスケール(規模拡大)を目指しているのです。
分析や検証、評価の速さ、そして明確な撤退基準を設定することが、Amazonの迅速な経営判断を支えていると考えます。
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株式会社GeNEE
代表取締役社長
東京工業大学環境社会理工学院、慶応義塾大学大学院経営管理研究科、慶応義塾大学ビジネススクール修了(MBA経営学修士取得)。国内最大手SIerである株式会社NTTデータなどで大手法人領域の事業開発・事業企画・財務企画等の業務に従事。
アメリカ・スタンフォード大学での海外研修を通じ、UCD(ユーザ中心設計)・UI/UXデザイン思考等を学ぶ。
現在、小売・流通業、製造業、食品業、飲食業、美容医療業・検査医療業の基幹システム、業務管理系システムの開発プロジェクトの他、組織全体を変革するDXプロジェクトを多数牽引。ユーザビリティの高いシステム及びスマホアプリの開発支援サービスを提供している。
GeNEEの会社概要
GeNEE開催セミナー
書籍『エンジニアが学ぶ在庫管理システムの知識と技術』
執筆者:株式会社GeNEE DX/ITソリューション事業部
製造業・小売業を中心として、適正在庫量の把握は必須です。しかし他の業務管理系システムと連携する必要などもあり、在庫管理システムの構築は年々複雑化しています。また、ただ正確な在庫量を把握すれば良いというものでもありません。生産計画や購買計画、需要予測等を考慮しながら、倉庫拠点等を含む適正なロケーション管理を実現しなければなりません。本書では、システム・エンジニアが押さえておくべき在庫管理システムの基本や適正在庫・適正配置を実現するために必要となる需要予測の手法・管理方式の仕組み、在庫管理システムに関連するシステムとの連携方法等を詳説しています。さらに、画像認識機能で効率化をもたらすAI技術や、在庫管理の精度を高めるIoT重量計など在庫管理システムと連動する最新のテクノロジー動向まで、基本の知識と最新の情報が一挙に身につく1冊です。
著者プロフィール詳細
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