事業目的とプライベート目的をきっちり分ける
必要経費に関して税務調査などで問題視されやすいのが、プライベート目的と事業目的が一見して見分けられないケースです。
たとえば居酒屋でお金を払ったとき、取引先を交えたものであれば交際費という名目で必要経費にできます。
しかし、プライベートな飲み会であれば当然ながら必要経費として認められませんから、必要経費として申告をすると、後で税務署から指摘を受けるおそれがあります。
このような問題を避けるには、まずは、お金を払ったら、プライベート目的のものと事業目的のものに分けて、事業目的のものは領収証などを保管しておくことが大切です。
さらには居酒屋の領収書のように、一見して事業目的に見えないものは、取引先との懇親会だったことをメモに残すなど、必要経費として後で説明できるようにしておきましょう。
自宅で副業をすると家賃が経費に
自宅で個人事業や副業をするなら、家賃や通信費、電気代などの一部を必要経費にすることができます。
ただし、あくまでも一部であることに注意が必要です。家賃などの全額を必要経費にしてしまうと、税務署から是正を求められる可能性が高いからです。
仕事とプライベートを兼ねた費用を「家事関連費」といい、実は、必要経費にできないのが原則です。ただ、家事関連費のうち、「業務の遂行上直接必要であったことが明らかにされる場合」に限っては必要経費にすることができるというルールになっています。
たとえば、「家賃のうち50%は業務のために必要」ということであれば、家賃の50%を必要経費にできます。この計算で使う割合は、「事業割合」といいます。
事業割合の計算方法は法律ではっきり定められていません。ですから、自分自身で理屈を考える必要があるのですが、「とりあえず50%を経費に」といった安易な判断は禁物です。
たとえば家賃であれば、仕事に使うスペースとそれ以外のスペースを分けて、その床面積の割合で計算するのが一般的です。
全部屋の床面積が100㎡で、そのうち仕事部屋が10㎡であれば10%といった計算をします。「平日の9時から17時は仕事に使っている」といった使用時間に着目して事業割合を計算する方法でもいいでしょう。
そして、事業割合は支払いの種類ごとに計算が必要となります。床面積から家賃の事業割合を50%と計算したとして、これをインターネット代や電話代、電気代などにそのまま当てはめるわけにはいきません。それぞれ、実情に合った事業割合を考えてください。