知らないと大損!「申告誤り」多発で税務署が目を光らせる…自分と家族にかかわる「6つの所得控除」【元国税専門官が解説】

知らないと大損!「申告誤り」多発で税務署が目を光らせる…自分と家族にかかわる「6つの所得控除」【元国税専門官が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

サラリーマンの給料や退職金は上がらず、その反面、税金や社会保険料等の負担は増大しています。今やサラリーマンにとって、自衛手段として能動的に「節税」することが欠かせません。本記事では元国税専門官である小林義崇氏が、新刊著書『会社も税務署も教えてくれない 会社員のための節税のすべて』(PHP研究所)から、サラリーマンが利用できる「人」に着目した「所得控除」の制度について解説します。

「人」に着目した控除

本記事で説明するのは、「人」に関する条件がメインとなるタイプの控除です。このカテゴリーの控除の多くは、本人や扶養家族の「所得金額」が基準となっています。

 

収入が増えすぎると使えなくなる控除があるので、自分や家族の働き方を考えるときに注意する必要があります。

基礎控除

数ある所得控除のうち、もっとも条件が少ないのが「基礎控除」です。

 

以前の基礎控除は「誰でも、いつでも使える」というものだったため、とくにしくみを理解する必要はありませんでした。ところが、税制改正を受けて、2020年分以降は、基礎控除が所得金額に応じて減るしくみが導入されています。

 

所得税の基礎控除は基本的に48万円に設定されていますが、本人の「合計所得金額」が2,400万円を超えると控除額が減り始め、2,500万円を超えた段階で控除額はゼロになります。ちなみに「合計所得金額」とは、「給与所得」や「事業所得」などの各種所得を合計したものです。

 

[図表1]所得税の基礎控除

 

基礎控除が減り始める所得2,400万円を給与収入に換算すると2,595万円ですから(給与所得控除195万円)、大半のサラリーマンは問題なく基礎控除を使えると思います。

 

住民税の基礎控除は、所得税の基礎控除よりも低く設定されています。基本は43万円で、本人の合計所得金額が2,400万円を超えると29万円、15万円、0円と段階的に控除額が減っていきます。

 

[図表2]住民税の基礎控除

 

基礎控除を理解する必要があるのは、所得税や住民税がかからない範囲で働きたいという人です。たとえば夫がサラリーマンで、専業主婦の妻がパートを始めようとするとき、基礎控除額がひとつの目安になります。

 

給料を得たときは、給与収入から給与所得控除を差し引くことができます。給与所得控除の最低額が55万円ですから、所得税の基礎控除の48万円と合わせると、103万円となります。

 

つまり、給料が年間103万円を超えない限りは、所得税は一切かからないということです。このことから「103万円の壁」と言われることがあります。

 

このときに気をつけたいのは、所得税と住民税の基礎控除額が違うという点です。住民税の基礎控除額は43万円が基本ですから、給与所得控除の最低額である55万円と合計すると98万円になります。

 

ということは、年収が98万円を超えると住民税がかかるおそれがあるということです。

 

ただし、住民税の非課税のボーダーラインはお住まいの地方自治体によって異なるので、気になる人は市役所などに問い合わせて確認してください。

 

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会社も税務署も教えてくれない 会社員のための節税のすべて

会社も税務署も教えてくれない 会社員のための節税のすべて

小林 義崇

PHP研究所

自動的に適用される節税の制度が次々と廃止され、 任意で使える節税の制度が増えている。 だからこそ、知識の違いで税金の負担に大きな差が出る! 2022年度の租税負担率と社会保障負担率を合わせた国民負担率は5割近くに上…

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