経営者・事業者が、「人に任せる」ときの心構え
経営者、事業者としての自覚を持ってほしいとお伝えしましたが、もっと具体的にいうと、最終的に責任ある決断は自分で行うものだ、という心構えが必要だということです。
少なくとも誰かが良いと言っていたから、乗っかるだけで上手くいくような世界ではないのです。仮に何でもやってあげるよ、という方がいたら、その方の利益がどこかに反映されていると考えたほうがよいでしょう。
「人に任せる」というのは難しいものです。しかし、どうしても、自分だけで処理できない事柄はその道のプロに任せる必要が出てきます。その「任せる」というのも非常に難しいのです。
私自身、中古戸建物件を購入し、数年間賃貸に出し、その後売却に至りましたが、売却は当然仲介会社に依頼しましたし、賃貸管理も管理会社に依頼しました。購入時には仲介会社を入れず、直接売主業者から購入しましたが、登記は司法書士に依頼しました。
弁護士という立場上、仲介会社、リフォーム会社、司法書士、税理士等にリーチしやすい立場ではありましたが、それでも一つずつどのような方に依頼するか、本当に悩みましたし、その選択のための労力(さまざまな方にお願いするために各種見積をとって検討するだけでも労力がかかります)と決断にもストレスがありました。
そのうえで、経営者が「人に仕事を任せる」ということは、その人がミスをするとか上手くできないことも織り込んでおかなければなりません。
仮に、部下に仕事を任せて、ミスをしたからと怒鳴っても事態は改善しません(むしろ自分の責任になってしまう)。リカバリーは自分自身でする必要があります。大家業でも同じです。
法律上も、不動産賃貸事業を営んでいる方は、「消費者契約法」によっては保護されません。
あくまで自己責任で事業を営む必要があり、その責任は自分で負って、いざとなれば自分で解決するのだという覚悟が必要となります。