事業としてのリスクヘッジを考える
大家業は事業ですから、心構えだけでなく、事業としてのリスクヘッジも当然考えます。しかし、「経営者・社長が、いろいろなトラブルの対処方法を知っているのか?」と言えば、そんなことはありません。
「顧問弁護士をつけておけば、いろいろなトラブルを避けられるのでは?」
弁護士が言うと身も蓋もないのですが、そんなことはありません。顧問弁護士がいて、迅速に相談できるとしても、完璧にトラブルを無くすことは難しいです。顧問弁護士がいても、あくまでダメージを最小限にすることができるところまでです。
結局、「事業である以上、トラブルは不可避なので、その分の余剰資金を準備しておいて、イレギュラーに備えておく」べきなのです。
仮に何らかの事業を営む場合には、売上が上がるかどうか(=不動産賃貸事業でいえば、入居者が決まるかどうか)、と取引先とのトラブルや不払いがないかどうか(=仲介やリフォーム会社等の業務委託先のミス、賃料不払い)、クレーマー等顧客とのトラブルが生じないかどうか等々、さまざまなリスクを想定して動きますが、なぜか、「不動産投資」だと、すべて上手くいくと信じ込んで始めてしまう方が多いように感じます。
しかし、事業を営む以上は、取引先の破産、代金未納のトラブル、顧客トラブル、労務問題、業務委託先のミスなど、仮に法的には相手方が悪くとも、どうしても解決しなければならないトラブルというのはたくさんあります。
私は、弁護士という職業柄、トラブルには慣れているほうですが、それでも、やはり自分の物件でトラブルが起きるとイライラしますし、ストレスもありました。
そういうときでも、深呼吸して、「起きたトラブルから、できる限り損失を抑えるための頭に切り替えて、淡々と対応しよう」と自分に言い聞かせています。
山村 暢彦
弁護士法人 山村法律事務所
代表弁護士