(※写真はイメージです/PIXTA)

不動産投資は、収益を上げられる可能性がある一方で、さまざまなリスクもあります。「楽して儲かる」ということも、「掘り出し物件」も、まずありません。本記事では、不動産取引に関する法律実務に精通し、自身も不動産投資家である弁護士・山村暢彦氏が、著書『失敗しない不動産投資の法律知識』(中央経済社)より、自身の長年の経験を踏まえ、不動産投資のリスクと、行うにあたって必要な心構えについて解説します。

不動産「投資」ではなく、不動産「賃貸事業」

2022年現在では、コロナショック前(2019年)と比べて不動産価格の高騰が進んでおり、メディアでも「不動産投資」が注目され、多くの方に知られるようになりました。いわば、「流行っている」状態です。

 

過去には「スルガショック」(2018年)のように向かい風のできごともありましたが、依然、不動産投資は「楽に儲かる」というイメージが広がっているように感じます。

 

私が伝えたいのは、不動産賃貸事業は「投資」のように「人任せにしていては、上手くいかない」、ということです。

 

不動産賃貸事業の性質として、副業としてできる可能性がある、というのはそのとおりでしょう。ただ、それは、時間軸を通常よりも長期的に見なければならない事業だからにすぎません。

 

不動産投資というのは、単にリスクに目をつぶれば運だけで上手くいくとか失敗するというものではなく、賃貸事業としてできる限りリスクを洗い出して、自分でも対処していく必要があります。

 

知人や不動産会社から「掘り出しもの」の物件を買って、成功するということはそうそうないということを、改めて多くの方に知ってほしいです。

 

このような当たり前のことを言うのも、最近では、20代〜30代で、特に仕事も真面目に頑張っている方でも、このような甘い言葉に誘われて不動産賃貸事業でつまずくのをよく見かけるようになったからです。

長期保有か短期売却か、修繕費・空室リスクを想定する

不動産賃貸事業は、他人に土地建物を貸し出して利益を得るのが中核の事業です。

 

そのうえで、(特殊な高利回り物件を除いて)利回り10%を下回るケースがほとんどですから、長期的に保有し設備投資の資金を回収していくのか、またはタイミングを見計らって売却していくのか、物件の性質や時勢を考慮して判断する必要があります。

 

特に長期保有する場合には、リフォーム等の必要も出てきますので、修繕費用をどの程度みておくのか、また、空室リスクをどの程度想定しておくのかも、考えるべきでしょう。

金利、融資を受けやすい物件の属性を常に気にする

また、自己資金で扱える不動産となると相当限られてしまいますから、一般的には融資を受けて物件購入することが多いです。そうすると、金利はどの程度が相場なのか、そもそもどのような物件で、どの程度の属性であれば融資を受けることができるのか、常に情報をアップデートしていく必要があります。

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失敗しない不動産投資の法律知識

失敗しない不動産投資の法律知識

山村 暢彦

中央経済社

不動産投資を始めようとしている方、不動産投資の経験のある方、次世代に賃貸不動産を遺したい方。人に貸すための不動産購入で失敗しないための法律知識がわかる本。

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