高年収でも貯蓄ゼロ…「高所得貧乏」に陥るワケ
――最近、年収1,000万円でも貯蓄がまったくない「高所得貧乏」と呼ばれる世帯が存在するそうですが、高所得貧乏になる理由にはどのようなものがあるのでしょうか。
黒瀧氏(以下、黒)「さまざまな要因があるとは思いますが、年収が高くなるにつれ税率も高くなる一方で、受けられる控除や手当が減っていくため、年収1,000万円といってもイメージほど余裕がないのが実情です。
所得税は累進課税で、所得が増えると税率も上がり、住民税を合わせると最高で約55%になります。
――なんとか節税する方法はないのでしょうか。
黒「みなさん意外と見落としがちなのが、『控除の適用』です。
税制上、納税額を減らすことのできる控除には、大きく分けて『所得控除』と『税額控除』というものがあります。これらは、それぞれ控除されるタイミングに違いがあります。
[図表2]は、所得税を計算する流れです。所得税計算の元となる『課税所得』は、所得金額から各種の所得控除を差し引いて求めます。こうして求めた課税所得に税率を掛けて、所得税額を算出します。つまり、所得控除は税率を掛ける前の控除ということになります。
一方、こうして算出した所得税額から、さらに差し引くことができるのが『税額控除』です。算出した税額から税額控除を差し引いた分が、実際の納付額となります。
つまり、税額控除は税率を掛けた後の控除です。最終的に計算された所得税額から直接差し引けるため、税額控除のほうが節税効果が大きくなることが多いです。
いずれも、控除の金額が多くなれば、結果として所得税の節税になります。うまく活用すれば数十万円単位、あるいはそれ以上の控除を受けることが可能です。
しかし、『要件を満たしているのに適用を受けていない』というケースも多いため、控除漏れがないよう注意が必要です」
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