有価証券の場合
有価証券の受け取りは、故人の口座がある各証券会社で移管手続きを進めます。手順は次の通りです。
1.必要書類の準備・提出
2.証券会社側のチェック
3.被相続人名義の口座から相続人の口座へ移管
4.有価証券を現金化するか運用継続
手続きの際、必要な書類は主に次の通りです。
(共通)
口座開設者死亡届書兼口座抹消届書
(1)遺言書がある場合
・遺言書
・被相続人の死亡が確認できる戸籍謄本(全部事項証明書)
・検認調書または検認済証明書(自筆証書遺言の場合)
・預金を相続する人の印鑑証明書
(2)遺産分割協議の場合
・遺産分割協議書
・被相続人の除籍謄本、戸籍謄本(全部事項証明書):出生~死亡まで
・相続人全員の戸籍謄本(全部事項証明書)
・相続人全員の印鑑証明書
死亡保険の場合
死亡保険金の受け取りは、受取人固有の権利です。そのため、受取人本人が単独で保険会社に請求手続きを進めます。手順は次の通りです。
1.必要書類の準備・提出
2.保険会社側のチェック
3.保険金を指定口座に振り込み
手続きの際、必要な書類は主に次の通りです。
・死亡保険金支払請求書
・保険金受取人の戸籍謄本
・保険金受取人の印鑑証明書
・被保険者(故人)の住民票
・死亡診断書(死体検案書)
・保険証券
相続した遺産を振り込んでくれない場合の対処法は? ケース別に解説
遺言手続き・遺産分割協議を経て、遺産を受け取るだけの段階となっても、一向に振り込まれる気配がないという事態はゼロといえません。
ここでは、遺産が振り込まれない事態を回避する方法、振り込みを請求する方法について解説します。
代表者がいる場合
相続人が複数いる場合に代表者を立てれば、相続手続きをスムーズに進めることが期待できます。代表者に相続人全員が必要書類を渡せば、全員で市町村や金融機関等の窓口に向かい手続きをする手間が省けます。
しかし、代表者を立てたとしても次のような事実があると、振り込みがなかなか進まない場合もあります。
・相続人の中に行方のわからない人がいる場合
・被相続人に離婚歴があり、前妻の子がいた場合
・相続人達の知らぬ間に養子縁組をしており養子がいた場合
行方のわからない相続人、前妻の子、養子のいずれも原則として相続権を有しています。遺産の取得には彼らの協力も必要です。
そのため、相続人の中から代表者を選ぶのではなく、弁護士等の専門家を代理人として立て、相続人の調査や調整を依頼した方が良いでしょう。
なお、相続人の中から代表者を選び、必要書類を渡したにもかかわらず、なかなか遺産の振り込みがされない場合は、手続きを進めるよう弁護士に依頼し代表者と交渉してもらったり、家庭裁判所へ遺産分割の調停申立を行ったりする対応が必要となります。