元気がなさそうな部下…なんと声をかける?
多くの組織では、職場という「空間」を共有して仕事を行います。空間の共有が当たり前であったコロナ禍前において、「空間の共有」=コミュニケーションという誤解が生じていなかったかどうかということです。
複数の人間の間で「共有」する前提は、それぞれが何を持っているのかを知ることです。その営みが「関わる」ということです。
「関わる」のスタートは、興味関心を持つこと。隣で仕事をしている同僚が、今、この瞬間、何を考えているのか、何に困っているのか、何に喜びを感じているのか、どんな思いで仕事に取り組んでいるのかに関心を持つことが「関わる」そしてコミュニケーションの基礎になります。
関わりの中で共有をめざすものは、お互いの「状況」「思考」「感情」「価値観」です。
まずは、相手の「状況」「思考」「感情」「価値観」を知るところから始めてみましょう。そのための第一歩が対話です。
例えば、なんとなく元気がなさそうな山田さんに対する会話を見てみましょう。
川野主任1「最近、元気がないようだけど何かあった?」(開かれた質問で、相手の思いを探索する)
山田1 「ちょっと気になることがあって……」
川野2 「困っていることがある……」(言葉の言いかえで、こちら側の理解が適切かを確認する)
山田2 「ええ、まあ……」
川野3 「なんとなく話しにくい感じ……」(相手の感情を推測して、確認する)
山田3 「……」
川野4 「よかったら、少しだけ話を聴かせてもらってもいいかな?」(選択権を相手に渡す。)
ここでのポイントは、こちらの気遣いを示しつつ、相手が話してくれることを待つ姿勢です。また、川野2、3では、相手の言葉を確認するという作業を行っています。関わる過程で、対話にほんの少しだけ時間をかけることで、関係性が大きく変わってくるのです。
後藤 英之
一般財団法人佐賀県産業医学協会 理事 健診部部長 診療副所長
医師、労働衛生コンサルタント、社会保険労務士、公認心理師、JaSMINe(日本動機づけ面接学会)理事、JaSMINe(日本動機づけ面接学会)トレーナー
産業医科大学医学部卒業。脳神経外科医として修練を積んだ後、産業保健の世界に転身する。2005年4月より、一般財団法人佐賀県産業医学協会に勤務。佐賀県内を中心に、約20社の嘱託産業医を務める。
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