(※写真はイメージです/PIXTA)

「共有持分権」とは、1つの不動産を2人以上の所有者で共有する場合の、各々の不動産全体の持分割合に応じた権利のことを指します。後藤光氏が代表を務める株式会社サステナブルスタイルが運営する、相続・終活に関する情報を発信するwebサイト『円満相続ラボ』の記事から、今回は「共有持分権のメリット・デメリット」について知り、賢く運用するための知識を一部編集してお届けします。

「共有持分権」とは何か? 

共有持分権は、1つの不動産を2人以上の所有者で共有する場合、各々の不動産全体の持分割合に応じた権利を指します。

 

例えば5,000万円の不動産を、甲と乙の2人が共同で所有する目的で購入する場合、不動産の名義人は甲と乙となります(共有名義)。なお、共有名義人は夫婦でも他人でも問題ありません。

 

購入の際の購入費用5,000万円のうち、甲が3,000万円・乙が2,000万円を負担した場合、共有持分は甲が5分の3・乙が5分の2となります。

 

なお、1つの不動産を甲が5分の3所有し、乙が5分の2所有するというように分けるのではなく、甲・乙が共に不動産全体を使用できます。

 

ただし、不動産を短期賃貸借契約締結や、共有物の使用方法の決定等の管理行為を行うとき、共有持分の価格の過半数を有する甲は単独で行えます。一方、乙は共有持分の価格が過半数に満たないので、甲の同意を得ない限り管理行為は行えません。

 

このように、共有持分の割合によっては単独で権利を行使できる場合もあれば、共有者の同意を得ないと行使できない場合もあるのです。

共有持分にするメリット・デメリットは?

共有持分にすると住宅ローンを利用する場合は有利となる一方、売却等を共有者単独でできない制約もあります。

 

共有持分のメリット

主に夫婦が共同で住宅ローンを組むときに有利な点、税制上の優遇措置を受けられる点がメリットです。

 

住宅ローンを組む際に控除が受けられる

共有名義で不動産を購入する場合、夫婦で住宅ローンを組むと住宅ローン控除が夫婦双方で受けられます。

 

毎年末の住宅ローン残高または住宅取得価格のうち、少ない方の金額1%分が10年間にわたり所得税額から控除されます。ただし、最大控除額は1年目〜10年目が400万円、11年目〜13年目は80万円と決められています。

 

夫婦の片方のみが不動産を所有する場合、5,000万円の不動産の購入に住宅ローンを組むと、

 

5,000万円×1%×10年=500万円

 

となりますが、最大控除額は400万円に抑えられてしまいます。

 

一方、夫婦で借入金5,000万円をそれぞれ2,500万円負担した場合、

 

・夫:2,500万円×1%×10年=250万円

・妻:2,500万円×1%×10年=250万円

 

となり、住宅ローン控除を夫婦双方で受けられるため、実質500万円分が控除できます。夫婦双方で住宅ローンを組んだ方が、控除の適用範囲は広がります。

 

不動産売却の際の控除額も増える

不動産売却する場合、譲渡所得税が課せられますが「3,000万円の特別控除」という特例が適用されるケースがあります。

 

この特例が適用される場合、不動産の売却した利益が3,000万円以内なら、その全額が控除対象です。更に夫婦の共有不動産を売却する場合、夫婦双方が3,000万円の特別控除の対象なので、実質6,000万円分の特別控除が受けられます。

次ページ一方でデメリットも…

※本記事は、株式会社サステナブルスタイルが運営する相続・終活に関する情報を発信するwebサイト『円満相続ラボ』より転載したものです。

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