(※写真はイメージです/PIXTA)

DXによる業務改善を進めていくなかで、思ったような効果が出ないという企業は少なくありません。このような場合において重要になるのは、PDCAサイクルのうち「C」と「A」の部分だといいます。本記事では不動産販売事業を経営する中西聖氏が、自らのDXの失敗経験をもとに、DXにおけるPDCAサイクルについて詳しく解説します。

なぜ期待どおりの成果が得られないのか?

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

期待した効果が出ていないのだとすれば、どこかに問題がある。例えば、100時間の削減を目指し、50時間しか削減できなかったのなら、この時間の差がどこから生まれたのか。ヒアリングが甘かったのかもしれないし、効果を見積もる力が足りなかったのかもしれない。そこを突き詰めていくことがCであり、修正し、次に活かすのがAである。

 

CとAの強化は、DXの効果を最大化することにも結びつく。ここでは、必ず実装までに1次効果、2次効果を設定しておく。1次効果は部門の成果に直接影響を及ぼす2次効果に対して間接的に得られる効果とする。結果的に期待どおりの効果が出たとしても、そこでさらにCとAを行うことで、もっと大きな効果が得られるかもしれない。

 

また、価格についても常に考え続けなければならない。アプリケーションの実装に社内での開発コスト工数から逆算して100万円掛かったとしたら、また外部からのツール導入費用に100万円掛かったとしたら、90万円でできたのではないかと疑ってみる。

 

予算というのは面白いもので、100万円使ってよいと決めると、100万円使い切る施策になる。パーキンソンの法則に「支出の額は、収入の額に達するまで膨張する」とあるように、お金も時間もあればあるだけ使ってしまうものなのだ。

 

だからこそ、前回が100万円なら、それを次回の及第点として、90万円でやってみる。さらに次は80万円くらいにできないか考える。そう考えてCとAを行うことにより、余計な機能を省いたり、導入の際の交渉がうまくなったり、DXのレベルが高度化していくことができるのだ。

 

また、3つのポイントを踏まえてどれくらいの効果が出たか数値化し、可視化した物差しにすることで、もっと工数を減らせるかもしれない、もっと効率良く売上を増やせるかもしれないといった目安ももてるようになるだろう。

 

重要なのは、もう一歩踏み込んでみることだ。PDCAで終わらずに、PDCAから、さらにCAを行ってみる。そのことをDXチームに伝えて、僕はPDCAのCとAに重点をおいたDXを心掛け、CAのみを追求する仕組みをつくり上げ、実装することとした。

 

次ページ「CA」のみを追求する仕組みとは?

※本連載は、中西聖氏の書籍『DX戦記 ゼロから挑んだ デジタル経営改革ストーリー』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋・再編集したものです。

DX戦記 ゼロから挑んだデジタル経営改革ストーリー

DX戦記 ゼロから挑んだデジタル経営改革ストーリー

中西 聖

幻冬舎メディアコンサルティング

紙ありき、無駄な残業、膨れ上がる営業コスト…… 非効率極まりないアナログだらけの日常から脱却せよ! 課題山積の不動産会社はいかにして 「不動産×IT」のハイブリッド企業に進化したのか? 「失敗することでしか前…

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