(※写真はイメージです/PIXTA)

社内DXによって業務効率化を期待しても「思うようにいかない」というケースは少なくありません。一体なにが原因なのでしょうか? 不動産販売事業を経営する中西聖氏が、自社のDX推進プロジェクトの体験をもとに解説します。

DX推進の予算を検討

~前回までのあらすじ~

筆者・中西聖氏は、自社のDX推進により、営業成約数・1人あたり月間10件増、月間300時間の残業削減に成功した。このところDX推進プロジェクトは順調に進んでいるようだったが……。

 

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

DXチームのメンバーから通期の予算について聞かれたのは、3回目くらいのミーティングのときだった。正直なところ、予算についてはこの時点で決まった考えはなかった。

 

もちろん、それぞれの事業については精緻な予算計画を立てている。しかし、今回のプロジェクトは新しい取り組みであり、いくらくらい掛かるのか分からない。これは中小企業や中堅企業のよくある話かもしれない。初めての取り組みや投資効果が見えづらいものには予算が付けづらいのだ。

 

変革の可能性を予算で制限したくない

どうしようかと考えて、2つの方法が思い浮かんだ。1つは、とりあえず予算を設定して、そのなかでできることややれることを考え、提案してもらう方法。いわゆるスモールスタートな考え方だ。この方法ならシステムなどへの投資が失敗した場合でもリスクを限定できる。

 

もう1つは、予算は決めず提案内容優先で実行していく方法だ。予算が無限に膨らむ可能性があるが、予算で縛らないことにより、DXというテーマでどんな業務変革ができるのか、その可能性を模索できる。

 

仮に予算を3000万円と決めた場合、5000万円のシステム導入で2億円の効果が得られるような機会を逃してしまうかもしれない。明らかに効果が見込めるシステムがある状況で予算がないからできないという判断をするのは避けたい。

 

僕はDXプロジェクトに事業そのものを発展させる可能性を感じている。その可能性をお金の事情で制限したくない。そう考えて、提案内容優先でツールの導入を検討していくことにした。

 

まずは提案してもらい、そのなかから効果が大きそうなものを選出する。効果を金額に換算してみて、ツール導入に掛かる投資額を上回る見込みがあるなら予算を付ける。やるかどうかの最終判断は僕が暫定的に決定権をもっているから、費用対効果が薄そうな提案はやらなければよいし、予算が膨らみ過ぎるようだったらブレーキをかければよいだろうと考えた。

 

予算についての判断は間違えていなかったと思う。予算を決め、そのせいで可能性が制限されてしまうことは、振り返ってみれば落とし穴の一つになる可能性があった。

 

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※本連載は、中西聖氏の書籍『DX戦記 ゼロから挑んだ デジタル経営改革ストーリー』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋・再編集したものです。

DX戦記 ゼロから挑んだデジタル経営改革ストーリー

DX戦記 ゼロから挑んだデジタル経営改革ストーリー

中西 聖

幻冬舎メディアコンサルティング

紙ありき、無駄な残業、膨れ上がる営業コスト…… 非効率極まりないアナログだらけの日常から脱却せよ! 課題山積の不動産会社はいかにして 「不動産×IT」のハイブリッド企業に進化したのか? 「失敗することでしか前…

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