ついつい「P」と「D」ばかりに力を注いでいた理由
~前回までのあらすじ~
筆者・中西聖氏は、自社のDX推進のためにDXプロジェクト遂行チームを発足した。DXの効果は未知数であるため、チームの取り組みの基本スタンスは「まずはやってみる」。しかし、そのスタンスに限界を感じてきてしまい……。
僕たちに不足しているものは、PDCAのCとAを徹底することだ。つまり「とりあえずやってみる」の段階から、「やってみてどうだったか」を検証する段階に進む。この壁を乗り越えられるかどうかがDXの成功に大きく影響する。
これまでの取り組みを振り返ってみると、僕たちのDXはほとんどPとDのみの状態だった。DXの効果が未知数で、手探りで取り組んできた側面もあるが、やってみることの価値に重点をおき過ぎて、評価、検証、反省、改善といった取り組みが行われてこなかった。
いや、やっていたつもりではあった。いわば、Dがゴールになり、導入、実装したところで思考が停止していたのだ。やってみることは大事だ。失敗体験、成功体験(このときの僕たちは成功体験がほとんどなかったが)から分かることもある。
しかし、仕組みとしての「check」と「action」がなく、そこを追求しようとする意識と余力がなければ同じ失敗を繰り返す。次から次へと効果が薄いアプリケーションを導入することになり、予算が右肩上がりに増えていく。
DXチームによる効果を算定する力も、アプリケーションなどを選択する目利き力も上がらない。各部門の現場社員のDXリテラシーも上がらない。使われていないアプリケーションがあった場合に、その原因も分からず、アップデートされない。それではDXプロジェクトは進まないし、果たしてプロジェクトがうまくいっているのかすら判断できない。
PとDだけに終始してしまう理由は明らかで、人は基本的に新しいものを好み、未来に向けて行動することを好む。
DXでいえば、新しいツールを選んだり実装したりするのは楽しい作業で、その効果を想像しながら生産性向上に貢献している気になる。形になったり効果を実感し始めたりすることによって仕事をしている満足感も得られる。だから、ついPとDにばかり力を注いでしまう。
この厄介なPD病は大きな落とし穴だ。僕たちはいつの間にかこの落とし穴にはまり、きちんと導入効果を検証していなかったために、時間と予算が無駄になり、効果が薄いツールが増えてしまった。
《最新のDX動向・人気記事・セミナー情報をお届け!》
≫≫≫DXナビ メルマガ登録はこちら