(※写真はイメージです/PIXTA)

コミュニケーションを円滑にするために、非言語コミュニケーションである、身体的コミュニケーションが不可欠であることを忘れてはなりません。そのなかでも「目を見る」「微笑む」「うなずく」「相槌を打つ」は、互いの会話の雰囲気を暖かくするのに不可欠な要素です。明治大学文学部教授の齋藤孝氏が著書『究極 会話の全技術』(KADOKAWA)から、詳しく説明します。

ニホンザルに学ぶ、争いを避ける社会的コミュニケーション

私たちはコミュニケーションというと、つい言葉だけのやりとりだと思ってしまいがちです。しかし、そもそも人類は言葉を使いはじめるはるか以前から存在し、その間もコミュニケーションを成立させていました。

 

動物園の猿山を見ていても、実にさまざまなコミュニケーションが行われていることがわかります。

 

たとえば、彼らはグルーミング(毛づくろい)という行為をします。身体についたゴミや寄生虫を取り除く、つまり衛生的機能というのがグルーミングの第一の機能とされています。しかし、よくよく観察すると、群れが大きくなるにつれて他者に対するグルーミング(社会的グルーミング)の時間が長くなるのだそうです。

 

なぜ、そんな傾向が表れるのでしょうか。研究者によると、次のような理由によるそうです。

 

ニホンザルは集団が大きくなると、それだけさまざまなもめごとが起きてきます。それを放置しておくと、大きな争いが起き、仲間どうしで傷つけ合うことにもなりかねません。そうした状況を回避するために、社会的グルーミングが行われているのです。

 

つまり、グルーミングが群れの中における重要なコミュニケーション手段となっているというわけです。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

そういえば、つい最近も、面白い研究結果がニュースになっていました。

 

ニホンザルは仲間どうしの緊張を和らげるために抱擁(ハグ)という行動をとります。

 

その仕方を宮城県の金華山島と鹿児島県の屋久島で比べたところ、地域差があることがわかったというのです。

 

たとえば、身体の向きの違いです。金華山では対面だけですが、屋久島では対面以外から抱き付くこともあるそうです。

 

まさに文化の違いが存在しているというわけです。

人類にとっても重要な非言語コミュニケーション

ひるがえって私たち人類について考えてみますと、言語という精緻な記号体系を築いて社会を形成しています。しかし、その根底にニホンザルの社会で見られるような身体的コミュニケーションが存在していることは間違いありません。

 

コミュニケーションを円滑にするために、そうした身体的コミュニケーションが不可欠であることを忘れてはなりません。

 

私は、その中でも、「目を見る」「微笑む」「うなずく」「相槌を打つ」の4つは、会話の雰囲気を温かくするために不可欠な要素だと考えています。

次ページ「4つの非言語コミュニケーション」によって得られる効果

本連載は、齋藤 孝氏の著書『究極 会話の全技術』(KADOKAWA)から一部を抜粋し、再構成したものです。

究極 会話の全技術

究極 会話の全技術

齋藤 孝

KADOKAWA

「伝える力」が重要な リモートワーク時代に役立つ 最強メソッド! 最短でコミュニケーションの達人になる「齋藤メソッド」の集大成。 早く、短く、誤解のない説明につながる読書法・メモは図式化して相手の話を正しく早く理…

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