(※写真はイメージです/PIXTA)

たとえば仕事上のやりとりをしているとき、同じような場面で同じようなやりとりをしていても、相手によって仕事の出来・不出来や、やりやすさ・やりにくさが出てくるのはなぜでしょうか。その違いは、感情的なレベルでの信頼関係のあるなしで生じていると指摘するのは、明治大学文学部教授の齋藤孝氏です。著書『究極 会話の全技術』(KADOKAWA)から、コミュニケーションにおいて大切なことについて詳しく解説します。

コミュニケーションとは情報のやり取りではない

忘れられがちなことですが、コミュニケーションには必ず相互性が必要です。たとえば、テレビでニュースを見ている行為はコミュニケーションとは言えません。またインターネットでいろいろなサイトを覗いたからといって、それでコミュニケーションがとれたことにはなりません。

 

相互性の中で、意味や感情をやりとりする行為こそが、コミュニケーションなのです。一方的に情報を受け取るだけの関係はコミュニケーションとは言えません。では、相互に情報をやりとりすればコミュニケーションと言えるのでしょうか。……いえ、それでも、まだまだコミュニケーションとは言えません。

 

そもそも「情報」には感情は含まれていません。その情報に、意味と感情が加わって、初めてコミュニケーションが成立するのです。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

たとえば仕事上のやりとりをしているとき、一見すると情報交換だけをやっている場面は多々あります。ところが、同じような場面で同じようなやりとりをしていても、相手によって仕事の出来・不出来や、やりやすさ・やりにくさが出てきます。それはいったいなぜなのでしょう。

相手の感情の揺れ動きをキャッチする、アンテナが大切

その差が生まれた理由は、実は簡単です。感情的なレベルでの信頼関係のあるなしで生じているのです。お互いに信頼関係がないまま仕事が進んでいくとトラブルが起きやすくなりますし、もしトラブルが起きてしまうと、挽回が困難になります。

 

とくに人間は、立場や周囲の環境によって価値観や優先順位が異なります。

 

自分にとっての正義が相手にとってはまったく理不尽なことだったり、逆に相手の主張することが自分にとってはどうにも理解できないことだったりします。

 

ここで重要なことは、どんなに意見が合わない相手でも、コミュニケーションを諦めてはいけない、ということです。相手の立場になって考えることで、折り合いがつくことは多いはずです。

 

また、人間がなにか物事を判断するときには必ず感情が働きます。ですから、相手の感情の揺れ動きを十分につかんでおく必要があります。相手の感情の揺れ動きをキャッチすれば、相手の言動も理解できるようになるのです。

 

では、どうやって相手の感情の揺れ動きをキャッチすればいいのでしょうか。

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本連載は、齋藤 孝氏の著書『究極 会話の全技術』(KADOKAWA)から一部を抜粋し、再構成したものです。

究極 会話の全技術

究極 会話の全技術

齋藤 孝

KADOKAWA

「伝える力」が重要な リモートワーク時代に役立つ 最強メソッド! 最短でコミュニケーションの達人になる「齋藤メソッド」の集大成。 早く、短く、誤解のない説明につながる読書法・メモは図式化して相手の話を正しく早く理…

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