(※写真はイメージです/PIXTA)

経営危機に陥ったJALに京セラ創業者の稲盛和夫氏が立て直しに入り、京セラフィロソフィを参考にして、JALフィロソフィをまとめました。そして理念の浸透活動を続けました。経営コンサルタントの井口嘉則氏が著書『リーダーのための人を動かす語り方』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

聞き手がスーと飲み込めるあぴそーどが必要

■価値観を伝える際に気を付けること

 

理念のストーリーテリングの指導をしていて、気付いたことがあります。

 

(1)キーワードとストーリーの整合性

JALの話では、「ベクトルを合わせる」という理念のキーワードと、ジャカルタ空港からのエピソードがぴったり合っていたので、いいのですが、中には、キーワードとストーリーのマッチングが悪いケースや、キーワードに無理やりストーリーをくっ付けたケース等もあり、途中で「?」が浮かぶものもありますので、要注意です。

 

(2)聞き手の行動指針となるように

「善きサマリア人のたとえ」の最後にあったように、最終的には、聞き手の人たちにとって、理念に基づいた行動を取ってもらいたいわけですから、聞き手の行動指針となるような締めくくり方をする必要があります。単にいい話で終わってはいけないわけです。

 

(3)話の長さ

だいたい一話3分以内を目安としていますが、中には5分6分と長くなる人もいます。実際に起こったことは、数日がかりであったり、数ヶ月、数年かかったものもありますから、それを短くするのは大変なのですが、やはり聞き手のことを考えると、イントロは短めにして、3分程度に収まるものにするとよいでしょう。文字のボリュームでいうと、A4一枚以内です。

 

(4)実話であること

フィクション、架空の話は、あとでフィクションだと分かると、まったく興を削がれるので、理念のストーリーテリングについては、実話である必要があります。嘘があってもいけません。

 

(5)間接的な話

必ずしも自分の体験でなくとも、人から聞いた話でも構いません。ただし、人から聞いた話をまるで自分が行ったことのように話してはいけません。必ず、誰それから聞いた話と断って話し始めましょう。

 

(6)語り手と主人公との関係

必ずしも語り手が主人公でなければいけないわけではありません。主人公の様子を見ている話でもいいわけですが、その際には、語り手と主人公の関係をはっきりさせておきましょう。そうでないと、聞き手に「では、語っている人は何をやっていたんだろう?」と疑問に思われることがあります。

 

いずれにしても、ストーリーとして聞いて、聞き手がスーと飲み込める話、納得できるような話し方、話の内容である必要があります。

 

井口 嘉則
オフィス井口 代表

 

 

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※本連載は井口嘉則氏の著書『リーダーのための人を動かす語り方』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、再構成したものです。

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