(※写真はイメージです/PIXTA)

経営危機に陥ったJALに京セラ創業者の稲盛和夫氏が立て直しに入り、京セラフィロソフィを参考にして、JALフィロソフィをまとめました。そして理念の浸透活動を続けました。経営コンサルタントの井口嘉則氏が著書『リーダーのための人を動かす語り方』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

「理念にまつわるエピソード集」の共有

■価値観を体現したエピソードの「語り方」

 

こうした考え方のもとに、私自身も「理念の浸透」をテーマに理念のキーワードとそれと紐付く体験をエピソードで語ってもらう指導を行っています。個人の価値観や大切にしていることにも応用できるので、やってみてください。

 

対象層は、リーダークラスから役員・部長クラスまで幅が広いですが、考え方と手法は共通しています。

 

では、理念のストーリーテリングの要領をご紹介します。

 

(1)理念のキーワードの紹介

「これから企業理念の△△ということについてお話します」と切り出します。(△△にはキーワードが入ります)

 

(2)それを体現した行い・行動

情景設定:いつ、どこで

 

状況設定:誰が(主人公)、何のために、何をしているところ
※冒頭で「つかみ」を

 

主人公の想いと行動
※イントロは短めに
※「真実の瞬間」を再現ビデオのように
※主人公は誰?

結末

 

(3)教訓

※あなたは、どう考え、行動しているのか
※聞き手には、どう考え、行動してもらいたいのか

 

ちょうど先ほど紹介した、JALフィロソフィの「ベクトルを合わせる」のエピソードが、この理念のストーリーテリングの語り方の要領とほぼ合致していることがお分かり頂けると思います。

 

読者の皆さんも、自社の理念や自分の価値観のキーワードと自分の体験との接点を捜し出して、理念や価値観のストーリーテリングのエピソードを一つ書いてみるとよろしいと思います。

 

■エピソード集を作って価値観を広める

 

このようにして、例えば研修であれば、一回の研修で、15名から30名程度の受講者の人たちにエピソードを書いてもらうことができます。グループ分けをすると、グループで一人か二人ぐらいはとても良いストーリーを書く人がいるので、グループ代表として皆の前で発表してもらうと、大変感じ入った雰囲気になります。中には、「いやぁ、感動した!」と大きな声で感想を述べる人も出てきます。

 

こうした良いストーリーを集めて「理念にまつわるエピソード集」のようなものが作れると、社内の人たちに知ってもらうことができます。実際にある会社で、部長クラスの人たちのエピソード集を50話ほどまとめてもらったことがあります。

 

また英語や中国語、スペイン語などに翻訳して海外の人にも読んでもらうことができます。ただし多言語にする場合には、日本語ではわざわざ言葉にしなくても通じるようなこともあえて説明が必要な場合もありますので注意が必要です。

 

中には、エピソードに基づいてビデオを作成し、ビデオの映像と文字のテロップを組み合わせて、視覚的にも伝わるような教材を作っている会社もあります。映像を作っておけば、テロップの言語だけ変えれば、他の国に持って行って使えますので、グローバルな理念の浸透教材にすることもできます。

 

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※本連載は井口嘉則氏の著書『リーダーのための人を動かす語り方』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、再構成したものです。

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