銀行の融資審査…「お金を貸すか、貸さないか」は誰が決めている?元メガバンク支店長が明かす「意外な黒幕」

銀行の融資審査…「お金を貸すか、貸さないか」は誰が決めている?元メガバンク支店長が明かす「意外な黒幕」
(※写真はイメージです/PIXTA)

銀行の融資審査で「お金を貸すか、貸さないか」という判断の権限は誰が握っているのでしょうか。実は、実質的に融資を決めているのは支店長ではなく、他に「キーパーソン」が存在するといいます。本記事では、メガバンクに32年勤務し、独立後は融資・補助金に強い専門家として資金調達支援を行う川居宗則氏が、融資審査における「銀行の裏側」を詳しく解説します。

稟議におけるキーパーソンは融資担当課長

稟議において最も鍵を握る人物は融資担当課長です。支店が扱うすべての案件は融資担当課長の元を通過する仕組みになっているからです。融資担当課長が稟議書を1枚1枚精査してOKを出さなければ、その先には進めません。

 

「事業内容が分かりにくいからもっと資料をそろえて」「この案件内容では判断ができないから詳しくコメントを書くように」など細かい部分もチェックされ、融資担当者に差し戻されることはしょっちゅうです。

 

差し戻しがあると融資担当者は自分で調べたり、申込者(経営者)に問い合わせたりして書き直しをしなければなりません。何度も再提出を重ねているうちに日にちが過ぎていき、案件が融資担当者より先に進まない、ということにもなってしまうのです。

 

差し戻しの回数はせいぜい3回までが限度で、4回目が戻ってきたらまずダメだと思わなくてはなりません。経営者からすると自社の稟議書が何度目の差し戻しかは正確には分かりませんが、何度も質問が来て融資担当者の手元でグズグズしていることが見て取れたら危ないと思ったほうがいいです。

 

日々上がってくる少なくとも10件の稟議書をすべてチェックするのは融資担当課長にとってもなかなかのプレッシャーです。1日に見られるファイルはせいぜい7~8件なので未消化の分は翌日に回しますが、翌日にもまた10件のファイルが来てしまうことがあります。

 

この段階で融資の可能性のないものは却下し、可能性のあるものだけを上に送ります。つまり、ここで通った案件は融資担当課長が融資しても問題ないと判断したということで、支店決裁の案件についてはだいたいは融資が通ります。

 

副支店長や支店長の審査が控えていますが、融資担当課長に信頼を置いているため覆ることは少なく、細かい融資条件を決めるための審査となるのが通常の流れです(審査部決裁の場合は、支店はOKでも審査部で覆ることが多々あります)。

融資担当課長が面談に出てくれば良い兆候

基本的に窓口業務は融資担当者が行い、融資担当課長はバックヤードに控えていることが多いのですが、時と場合によっては表に出てくることもあります。融資担当課長が面談時に融資担当者と同席したり、現地見学に一緒に来たりしてくれるなら良いことです。

 

同席するということは自社に興味をもってくれている証拠であり、稟議を通すためにより詳しく聞きたいと思ってくれているというサインだからです(ただし、稟議書の内容があまりに不備が多い、必要書類が提出されていないなど業を煮やして同席する場合もあります)。

 

融資担当課長と対面する機会があるのであれば、経営者は自分の言葉で直接アピールをすると良いです。そのほうが自社への理解を深めてもらえ、稟議がスムーズに進みやすくなります。

 

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※本連載は、川居宗則氏の著書『元メガバンク支店長だから知っている 銀行融資の引き出し方』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

元メガバンク支店長だから知っている銀行融資の引き出し方

元メガバンク支店長だから知っている銀行融資の引き出し方

川居 宗則

幻冬舎メディアコンサルティング

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