(※写真はイメージです/PIXTA)

さらに企業を成長させたい経営者にとって、「銀行融資」は欠かせない選択肢です。事業がうまくいっていないときほど「なんとしても貸してほしい」と思うものですが、銀行が「貸したがらない」お金の使い道も存在します。メガバンクに32年勤務し、独立後は融資・補助金に強い専門家として資金調達支援を行う川居宗則氏が、著書『元メガバンク支店長だから知っている銀行融資の引き出し方』(幻冬舎MC)より銀行融資の種類と目的について解説します。

銀行からお金を借りたい…銀行融資には「2種類」ある

銀行融資の種類には、大きく分けて信用保証協会付き融資とプロパー融資があり、本記事ではプロパー融資の引き出し方を主なテーマとします。

 

「信用保証協会付き融資」…創業したてでも使いやすいが多く借りられない

それぞれの違いを整理しましょう。まず信用保証協会付き融資は中小企業・小規模事業者が事業資金を調達する際に信用保証協会が保証人になることで銀行からの融資を受けやすくする制度です。

 

創業から日が浅く事業実績が少ない会社や担保となる不動産などを十分もたない信用力の乏しい会社でも保証審査が通りやすく、返済期間の長い融資を受けやすいメリットがあります。

 

万一、返済不可能となった場合は保証協会が融資額の80%を代わりに支払ってくれるので(残りの20%は銀行が負担)、銀行も低リスクで貸すことができるのです。

 

使い勝手が良いことから中小企業・小規模事業者の約半数に利用されていますが、あまり大きな額は借りられないという制約もあります。無担保の場合で最大8000万円まで融資可能とはいうものの、やはり会社の業績によって融資額が決まるので実際にはこの制度を利用している会社の6割強は3000万円以下となっています。3000万円ではできることが限られてしまうので、もっと大きな展開をしたい場合にはプロパー融資を目指すことになります。

 

審査は厳しいが…会社を大きくしたいなら「プロパー融資」

プロパー融資は、会社の信用力を銀行が独自に判断して融資するか、しないかを決めます。保証協会が保全してくれるわけではないので、すべてのリスクは銀行が負わなければなりません。銀行は本当に貸して大丈夫なのか、いくらまで貸せるかなどを厳しく審査し、危ないと判断した会社については融資を断ります。

 

反対に銀行が、この会社は成長が期待できる、貸した分は回収できる可能性が高いと判断すれば、それだけ大きな額を貸してくれます。一般的に会社の利益の10倍まで融資可能とされているので、利益が1000万円の会社なら単純計算では1億円まで借りられる余地があります。

 

事業を展開するうえでは設備投資が欠かせず、一時的に多額の資金が必要になることもあります。自己資金で1億円を調達するには年月をかけてコツコツと利益を積み上げていかねばなりません。銀行融資はまとまったお金を短期間で調達できるので、ここぞというタイミングを逃さずに一気に投資を実行することができます。つまり、会社を大きくしていきたい、ビジネスチャンスをモノにしたい場合にはプロパー融資が非常に有効なのです。

 

特に創業期から成長拡大期に企業の成長フェーズが変わろうとするとき、プロパー融資をスムーズに引き出せるかどうかが会社の未来を左右します。

 

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※本連載は、川居宗則氏の著書『元メガバンク支店長だから知っている 銀行融資の引き出し方』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

元メガバンク支店長だから知っている銀行融資の引き出し方

元メガバンク支店長だから知っている銀行融資の引き出し方

川居 宗則

幻冬舎メディアコンサルティング

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