(※写真はイメージです/PIXTA)

様々な要因によって世界的なインフレが起こり、将来の展望が正確に描けない昨今。自身の資産を守り、未来につなげていくためには、どのような行動を取ればいいのでしょうか。複眼経済塾の取締役・塾頭、エミン・ユルマズ氏が、著書『エブリシング・バブルの崩壊』(集英社)から、世界経済の展望と、日本経済にに潜むチャンスについて解説します。

バブルには2種類ある

〝弾けないバブル〟というものは歴史上なかったが、バブルというものの本質に関して、少し歴史を振り返って考えてみよう。

 

バブルには大きく分けて、一つは新しい土地を開発するときに起きる「不動産バブル」、もう一つは新しいテクノロジーによって起こされる「テクノロジーバブル」の2種類がある。

 

不動産バブルでいうと、18世紀初頭に「ミシシッピバブル」が起きている。北アメリカに植民地をもっていたフランスが立てたミシシッピ川周辺における開発・貿易計画、いわゆるミシシッピ計画がバブルをつくった。投資対象は株式だった。

 

英国では1840年代に鉄道への投資熱が高まり「鉄道バブル」となったが、これは新しいテクノロジーによって引き起こされたといえる。

 

1890年代に英国で起きたのは「自転車バブル」。英国では空前のサイクリングブームとなったが、同時にタイヤブームを迎え、あのダンロップ社が誕生している。

 

そして1880年代から1891年まで、オーストラリアでは「不動産バブル」が起きた。

米国バブルの歴史

(※写真はイメージです/PIXTA)
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その後米国では、1900年から1907年まで続いた普通の株式投資バブルを経て、1920年代からは「RoaringTwenties」といって洗濯機、ラジオなどさまざまな電化製品の登場によって起きた「家電バブル」が、1929年の大恐慌発生まで続いた。

 

戦後になって1970年代には「コンピュータチップ」のバブルが起き、90年代にはご存じITバブルが起きて、弾けた。2002年から2007年は米国の不動産バブルが発生し、リーマン・ショックで終わった。

 

それで、いまは何バブルなのか? ありとあらゆる資産の価格が上がっていることから、私は「エブリシング・バブル」と命名している。

次ページバブルの功罪とは?

本連載は、エミン・ユルマズ氏の著書『エブリシング・バブルの崩壊』(集英社)から一部を抜粋し、再構成したものです。

エブリシング・バブルの崩壊

エブリシング・バブルの崩壊

エミン・ユルマズ

集英社

不安定な社会情勢のなかで、日本の投資家はどのように資産防衛・運用を行えばよいのでしょうか。今後の世界経済に大きな影響を与えるであろう「エブリシング・バブル」と呼ばれる米国発のバブルと、その周辺事情について解説。

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