介護業界の正しい組織運営に必要なステップ
人材不足をいかに解消するかが正しい組織運営の第1歩となります。悩みを抱える経営者の方は、「人材不足なので成長意欲があろうがなかろうがとにかく来てくれる人は採用している。これが介護業界の現実だ」と口をそろえます。
しかし、介護職員の数は200万を超え、母数は十分といえます。これだけあれば、成長意欲のある人材がいないはずがありません。問題の本質はそのような人材に成長環境を与えられない、つまりは将来の展望を描けない会社側の制度設計にあります。では、会社側はなにを整えればよいのでしょうか。
それは、ずばり評価制度です。多くの組織が従業員に開示できる明確な評価制度を構築せず、低賃金であるにも関わらず今後の給与が何をどうすれば上がっていくかのがブラックボックス化されています。これでは、成長意欲のある人材の採用や定着が望めるはずがありません。
採用時から明確かつ夢のある評価制度を提示できれば、人材の質や定着率は大きく改善されます。そして、そのような評価制度は必ず設定できます。
会社の成長につながる事実を評価する制度を確立する
評価制度がどのようなものであるべきなのかといえば、「評価項目が会社の成長につながる事実となっている」評価制度です。
反対に、間違った評価制度は、会社の成長につながらない頑張りを評価項目にしているものです。たとえば、「営業活動をしっかりやりなさい」といった曖昧な内容になっているものが挙げられます。
これを、
・月内振替率を60%以上とする
というように会社の成長につながる事実に変えることで、成長意欲のあるメンバーの向かうべき方向を明確にして迷わせることがありません。その動きが会社の成長に確実につながる状態を整えていけば、メンバーにとって夢のある評価制度の構築は現実的なものとなります。
部下を叱れない管理者を変えるには?
最後に、心優しき管理者をいかに「部下の成長にコミットする管理者」へと変えていくかについてお伝えしたいと思います。ここで、必要となるのがルールの存在です。まずは管理者に対して、「管理者とは部下にルールを守らせるためにルール違反を指摘する役割」であることを認識させましょう。
そのうえで、しばらく「1日1回は部下にルール違反を指摘する」というルールを管理者に与え、管理者がそのルールを順守しているか、上司がしっかりと見守ってください。そうすることで、管理者が変わっていくのです。
雨が降れば傘をさすように、人は環境によって行動や思考が変わる生き物です。 この性質を活かし、あるべき役割を理解せざるを得ない環境を与えていくことが必要となります。
入澤 勇紀
株式会社識学
営業1部 部長/上席コンサルタント
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