介護業界は「非競争市場」
介護業界は、営利目的の会社組織のように完全競争市場ではなく、非競争市場と呼ばれる環境のなかで各社が運営を行っています。非競争市場とは、医療や福祉、介護のような、いわゆる公共サービスに競争原理を入れるモデルを指します。
公的資金が財源の中心となり、資金未回収のリスクが少ない反面、「利益が最優先となっていないか」という行政側のチェックが入るため、1つの施設で得られる利益には上限があります。また、介護保険財政や自治体の財政事情によってサービスの価格が政策的に管理ないし操作されることもあるため、制度による売り上げ変動リスクもあります。
介護保険には複数のサービスがあります。主なものとして、現在の家に住みながらサービスを受けられる「居宅サービス」、施設に入所した人にサービスが提供される「施設サービス」、同じ市区町村に住む方にサービスが提供される「地域密着型サービス」などが挙げられます。
従業員の給料の源泉となる介護報酬は、利用者負担が1~3割、介護給付費用が7~9割となっています。 介護報酬は、介護サービスの種類やサービス内容、要介護度、事業所や施設の所在地などに応じた費用を勘案して決定することとされています。
介護給付費は、40歳以上の医療保険加入者や65歳以上の方々からの保険料徴収が50%、残りの50%は国や自治体からの公費で構成され、安定した収入源の確保が可能となっています。
上記のとおり、介護業界は公共サービスの色合いが強く、介護従事者は従来身内が行っていた介護を家族の代理という位置づけで行っています。
したがって、
・移乗介助などの重労働
・1つの施設で得られる利益に上限があるため、低賃金となりやすい
といった労働環境となっていて、お世辞にも恵まれているとは呼べない現状にあります。そのため、採用率が低く離職率は高いという業態なのです。このような環境で仕事を続ける方々は、個人の成長や高い給与を求めるのではなく、人の役に立ちたいというボランティア精神に溢れる方が多い傾向にあります。
《最新のDX動向・人気記事・セミナー情報をお届け!》
≫≫≫DXナビ メルマガ登録はこちら