「同調圧力」返しは、バレない
この学生時代の体験は、営業の仕事をしたときにも役立ちました。
かつて女性だらけの職場で1人だけの男性となったとき、最初は「ものすごい同調圧力じゃ〜」といじめのような扱いを受けていました。
でも、少数派の私が「同調圧力に乗っかる!」ということをしたときに、「チームワークがどんどんよくなってきた!」と、みんなの成績がぐんぐん伸びていきます。
そして、お互いの弱点を補い合いながら、「営業所の成績が地域でトップになった!」と面白い体験をすることができたのです。
少数派になって同調圧力を感じたら、普通だったら「嫌だな〜」となってしまって、嫌々同調圧力に流される形になってしまうことが多いでしょう。
でも、そんなときに「少数派になったらチャンス!」と思ってみる。
同調圧力をかけてくる多数派の人たちの同調圧力に乗っかってしまうことで、同調圧力が加速し、いつの間にか多数派の人たちにも同調圧力がかかることになり、程よいプレッシャーで「チームワークが生まれた!」となって組織力をアップさせることができてしまうのです。
とはいえ、「そんな組織力をアップするなんて、面倒くさいことをしたくない!」と思う人も少なくないでしょう。
「なんで私が、そんな組織のために一肌脱ぐようなことをしなきゃいけないの?」と思う気持ちはよくわかります。
それに、「逆に同調圧力をかけて組織力をアップさせた」とバレてしまったら、必ず嫌な思いをするはず、という考えもあるでしょう。
でも、安心してください。この「少数派になったときに、同調圧力を加速させる」というのは、ある意味で完全犯罪になります。
多数派は「自分たちの同調圧力が加速された」という自覚が持てないのです。
というのも、多数派からすると、自分たちが出している同調圧力というプレッシャーによって、チームワークがつくり上げられた、という感じしか受けていないから。
実は多数派は「自分たちが中心」という感覚しかないので、それ以外はあまり認識ができていません。
だから「少数派のあの人が同調圧力を加速させて、私たちにプレッシャーをかけてチームワークをつくっている」と認識されることはないのです。
「あれ? 私が同調圧力を加速させて、チームワークを生み出したのに誰にもわかってもらえないんだ!」というのはちょっと寂しいかもしれませんが、出る杭(くい)は打たれる、という心配はないのでちょっと安心。
チームワークが生まれ、組織力がアップすれば、自分が一生懸命にならなくても、みんなが力を合わせてなんとかやってくれる、という楽な世界がやってきます。
問題は、組織力を同調圧力で加速させて高めても、誰にも知られず感謝されないことだけなのかもしれません。
大嶋 信頼
株式会社インサイト・カウンセリング
代表取締役