社会生活において「同調圧力」と無縁でいられる人はほとんどいません。他者からの同調圧力に苦しむ人が多いのはもちろん、自分自身、無意識のうちに同調圧力に加担してしまうことさえあります。本連載では、心理カウンセラーの大嶋信頼氏が、著書『誰にも嫌われずに同調圧力をサラリとかわす方法』より、同調圧力の正体と、上手に受け流すコツや考え方について解説します。
「同調圧力」を逆手にとれば、少数派が多数派をも動かせる
こうした、同調圧力の前向きな使い方というのは、ご覧のとおり、組織力をアップさせることができます。
しかも、結果的にはこの同調圧力は、決して強者から弱者へと強いたものではありません。むしろ、私はチームに入れてもらった側の少数派でした。
私は「日本人が一人しかいない」という学校にいて、そのほかはヨーロッパ系アメリカ人しかいなかったので、多数意見の「同調圧力」をものすごく感じていました。
物理の授業の時間に五人のチームをつくりなさい、と言われたときも「少数派の私がメンバーに入れてもらうのは申し訳ない」と感じていたわけです。
だから、「少数派の私が足を引っ張っては申し訳ない」と、ここは「みんなで計算を分担して誰よりも早く20分で帰って教授の鼻を明かすぞ!」という「多数派についていかなければ!」と思っていました。
ところが、この少数派の私が感じた「多数派についていかなければ!」という同調圧力こそが、実は「チーム内の同調圧力をも増大させた」ということが考えられるのです。
というのも、あえて私が多数派の同調圧力に従ったことで、チーム内では同調圧力が増し、「みんなに合わせて、早く正確に計算をやらなければ!」と、多数派の人たちにまで同調圧力のプレッシャーが及んでいました。
つまり、少数派が多数派に反発せずに、逆に少数派の私が多数派の意見に同調してさらに強調すると、多数派も同調圧力を受けることになったのです。
少数派の私が川でボートを手で漕いでいるとしたら、流れに逆らうと「全然先に進まない」というだけでなく、水の流れも妨げていることになります。
でも、流れの方向に向けてボートを漕いだならば、同調圧力の流れに合わせて「どんどんスピードアップした!」となって水の勢いも増し、チーム全体のスピードや力が増していく、となるわけです。
株式会社インサイト・カウンセリング
代表取締役
米国・私立アズベリー大学心理学部心理学科卒業。ブリーフ・セラピーのFAP療法(Free from Anxiety Program)を開発し、トラウマのみならず多くの症例を治療している。
アルコール依存症専門病院、周愛利田クリニックに勤務する傍ら東京都精神医学総合研究所の研究生として、また嗜癖問題臨床研究所付属原宿相談室非常勤職員として依存症に関する対応を学ぶ。嗜癖問題臨床研究所付属原宿相談室室長を経て、株式会社アイエフエフ代表取締役として勤務。心的外傷治療に新たな可能性を感じ、株式会社インサイト・カウンセリングを立ち上げる。多くの人が自由に生きられることを目指し、治療を行なっている。
カウンセリング歴29年、臨床経験のべ9万件以上。ブログ「緊張しちゃう人たち」や会員制オンライン講座「無意識の旅」をほぼ毎日更新している。
著書に『「いつも誰かに振り回される」が一瞬で変わる方法』(すばる舎)、『「空気読みすぎ」さんの心のモヤモヤが晴れる本』(永岡書店)、『孤独とお金の不安から解放してくれる25の呪文』(主婦の友社)、『ミラーニューロンの彼方へ! 支配からの解放』(青山ライフ出版)、『誰にも嫌われずに同調圧力をサラリとかわす方法』(祥伝社)等多数。
●緊張しちゃう人たち
http://insight-fap.jugem.jp/
●無意識の旅
https://m2191204.megadoga.com/
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連載現代人必見!心理カウンセラーが語る「誰にも嫌われずに同調圧力をサラリとかわす方法」