◆メリット2|収益性(ただし業者のセールストークに注意)
コインランドリーの数は急激に増加しており、まだ伸びしろがあるといわれています。その背景には以下の事情があります。
・共働き世帯の増加
・気候の変化(ゲリラ豪雨の増加等)
・花粉症・ダニ等のアレルギー対策の需要の増大
したがって、立地条件が良好であれば、将来にわたり安定的に収益を得られる可能性が高いといえます。
なお、少し長くなりますが補足しておきます。実をいうと、以上はコインランドリーのフランチャイズ事業者の営業マンから営業を受ける場合の定番の「セールストーク」です。
「共働き世帯の増加」「気候の変化」については、正直なところ、絶対的な「引き」とまではいえません。なぜなら、経済的余裕がある世帯では、家にドラム式の洗濯乾燥機や乾燥機を設置すればかなり解決するからです。最近とかく話題の「タワマン」が多いエリアは特にそうです。
むしろ、注目すべきは、アレルギー対策の需要の増大です。花粉の季節に外に干せない人がコインランドリーを利用するのはもちろん、「布団」等の大物洗いの需要の増大が注目されています。大物洗いは、コインランドリーの大きな洗濯乾燥機でなければ対応できません。
どういうことか説明すると、布団のなかに生息するダニの糞や死骸が、喘息やアトピー性皮膚炎等のアレルギー疾患の重大な原因の一つになっています。
そこで、コインランドリーに行かなければ使えない「大型」の乾燥機・洗濯乾燥機を利用するのです。
まず、布団を乾燥機にかけます。そうすると高温の熱風が吹き付けられるので、布団のなかのダニは完全に死滅し、糞や死骸がすべて吹き飛ばされます。そのうえで、洗濯乾燥機にかけると、布団のなかは完全にアレルゲンがない状態になるのです。
この活用法はまだ十分に普及しているとはいえませんので、これから普及すれば、需要の拡大が見込まれます。
ただし、そのような需要に応えるためには、コインランドリーに布団が入るような大型の洗濯乾燥機、乾燥機が設置されていることが前提です。
◆メリット3|「手離れ」のよさ
さらに、「手離れ」のよさもメリットとして挙げられます。ランドリーの運営を専門の業者に委託すれば、みずからは収益だけを獲得することができます。
しかし、次に説明するように、この「手離れのよさ」のメリットは、部分的に失われることが内定しています。
タイムリミットが迫っている?
政府が2022年12月に発表した「2023年度税制改正大綱」において、この「コインランドリー節税」に部分的に網がかけられることになりました。
すなわち、「機械装置の管理の大部分を外部に委託している場合」については、2023年4月以降、中小企業経営強化税制(B類型)の対象から除外するという方針が示されたのです。
自前で従業員を雇用して行う場合は排除されないので、従来通り、「コインランドリー節税」のスキームは認められることになります。
なお、この新ルールには租税法律主義、租税の公平性に反する疑いがあります。詳しくは「税制改正大綱で『コインランドリー節税』潰し…『節税憎し』の勇み足か!? その正当性を問う!」をご覧ください。
それはともかく、「業務の大部分を外部委託する場合」に関して「コインランドリー節税」が認められるのが2023年3月いっぱいだとすると、タイムリミットはいつなのかが問題となります。
結論から先にいえば、「今月いっぱいなら、ぎりぎり間に合う可能性がある」ということです。
すなわち、本来、「中小企業経営強化税制」の「B類型(収益力強化設備)」活用する場合、ランドリーの建設に着手し、専門のFC事業者の力を借りて申請を行い、ランドリーを開業するまで、多くの場合、4ヵ月前後かかります。
このことからすれば、本来、2023年3月に間に合わせようとすれば、2022年12月までにはプランを決める必要があったということです。
しかし、完全に「詰み」なのかというと、そうでもありません。
FC事業者によっては、あらかじめコインランドリーの店舗の「在庫」を持っているところもあります。すなわち、事前にランドリーの建設に着手してからオーナーを募集するというパターンです(もしオーナーがつかなければFC事業者が自社の直営店として運営します)。
中小企業経営強化税制(B類型)の申請手続き自体は1ヵ月半~2ヵ月程度です。したがって、このパターンであれば、今月(2023年1月)いっぱいであればまだまだ間に合う可能性があるといえます。