「会社を辞めたいなら7,000万円払え」…パワハラで男性従業員が自殺、裁判所が企業に命じた驚愕の賠償額【弁護士が解説】

「会社を辞めたいなら7,000万円払え」…パワハラで男性従業員が自殺、裁判所が企業に命じた驚愕の賠償額【弁護士が解説】
(写真はイメージです/PIXTA)

社会の目が厳しくなったとはいえ、まだまだ「パワハラ」や「セクハラ」が日常的におこなわれている企業も存在します。なかには、ハラスメントによりとんでもない額の損害賠償命令が下された企業も……Authense法律事務所の西尾公伸弁護士が、実際にあった3つの裁判事例を交えて、パワハラによる慰謝料と相談にかかる弁護士費用の相場を解説します。

パワハラで企業が慰謝料請求をされる根拠

社内でパワハラが起きた場合、なぜ加害者のみならず企業に対しても慰謝料請求がなされる可能性があるのでしょうか? その根拠は、次のとおりです。

 

使用者責任

企業は、その雇用する労働者の行為について、使用者責任を負っています。使用者責任とは、業務の遂行のために従業員が第三者に損害を加えた場合において、企業が損害賠償責任を負うという民法上の決まりのことです。

 

使用者責任の典型的な例としては、運送会社の運転手が業務中に、過失により交通事故を起こした場合、企業が加害者と連帯して賠償責任を負うケースが該当します。

 

使用者責任において、損害を加えた相手である「第三者」には、社内の人も含まれます。そのため、パワハラによって自社の従業員が他の従業員に損害を加えた場合には、この使用者責任によって企業も責任を負うこととなるのです。パワハラで企業に対する損害賠償請求が認められたケースでは、ほとんどがこの使用者責任を原因としているといえるでしょう。

 

なお、企業が従業員の選任や事業の監督について相当の注意をしたときなどには、使用者責任を免れるとされています。

 

しかし、このハードルは非常に高く、相当の注意をしたことなどを理由にパワハラにおいて企業の使用者責任が免除されるケースは、ほとんどありません。

 

不法行為責任

不法行為責任とは、故意や過失によって他人の権利や法律上保護される利益を侵害した者が負う、賠償責任です。

 

たとえば、企業ぐるみでパワハラを行っていた場合や、パワハラについて企業へ相談していたにもかかわらず、適切な対処がされなかったことによってパワハラが長期化したり悪化したりした場合などには、企業に対して不法行為責任が問われる可能性があるでしょう。

 

債務不履行責任

企業は、従業員に対して安全配慮義務を負っています。

 

社内でパワハラが発生して被害者の快適な職場環境や安全、健康が害された場合には、この義務に違反したとして、債務不履行責任に基づく損害賠償請求がされる可能性があります。

 

次ページパワハラの「慰謝料相場」と「実際の裁判事例」

本記事はAuthense企業法務のブログ・コラムを転載したものです。

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