「逆質問」が絶対必要だとされる理由
■面接全体の時間の使い方は?
まず、面接の冒頭では、「面接担当者の自己紹介」と相手の緊張を解くための「アイスブレーキング」を行う必要があります。
候補者にとって採用面接は人生に関わることであるため、大抵は緊張しています。そのため、候補者が緊張していることを理由に評価を下げることは得策ではありません。
どこの誰とも分からない相手に自分のことを述べるのは大変なことです。まずは面接担当者から名前や部署、採用における立場、などを短く説明します。
そして、「今日は忙しい中で来てくれてありがとう、うちの会社は分かりにくい場所にあるけど大丈夫でした?」「今日は雨がひどいですね。ご足労ありがとうございます」など、あえて面接内容に関係のない雑談で相手の緊張をなるべく解きます。これを「アイスブレーキング」と呼びますが、詳細は〈023〉〈024〉で改めて解説します。
これらを数分間で済ませた後で、面接の本題に入ります。聞いておきたいテーマは「過去のエピソード」「キャリアについての考え方」「大切にしている価値観」「モチベーション・リソース」などです。ここが面接の本来の目的ですので、もっとも長く時間を取り、聞くべきことを丁寧に聞いていきます。
最後に、候補者の疑問に答える「逆質問」の時間を取ります。面接は採用側と候補者側の相互理解の場ですので、こちらから一方的に質問をするだけの形式は望ましくありません。
候補者側からは具体的な仕事内容や福利厚生など、様々な質問が来ると思います。特に多数の会社に応募している候補者なら、今後の選考や内定受諾を見越し、「その会社が他と違う特徴」を知りたがっているものです。時間的には短くても、この「逆質問」の時間は絶対に必要だと考えてください。これは候補者の満足度にもつながる必須要素です。
これらの「自己紹介とアイスブレーキング」「面接の本題」「逆質問」の時間配分は、目安として1:8:1くらいが適当です。面接時間が1時間(60分)であるとすれば、6分:48分:6分となります(もちろん、計測してまで厳密に運用する必要はありません)。
•面接の基本要素は「自己紹介とアイスブレーキング」「面接の本題」「逆質問」で、時間配分の目安は1:8:1。
曽和 利光
株式会社人材研究所 代表取締役社長