(※写真はイメージです/PIXTA)

面接の後半で聞かれることが多い「何か質問はありますか?」という質問があります。わざわざ時間を取って「逆質問」させる理由は何でしょうか。人事コンサルタントの曽和利光氏が著書『人材の適切な見極めと獲得を成功させる 採用面接100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

面接は「個人情報」を扱う場所

■対面の面接前に準備しておくべきことは?

 

オフライン(対面)面接の会場を設営するにあたっては、「面接とはデリケートな個人情報に関わる事柄を扱うもの」という意識が、実はオンライン面接以上に重要です。

 

対面の面接は長年慣れ親しまれてきた分、オンライン面接よりも情報漏洩に向けられる意識が甘く、設備も旧態然としていることが少なくないからです。

 

例えば、社内の休憩室を兼ねた面接室や、ブースで仕切られただけの大規模面接会場などはその典型でしょう。また、廊下で待つ他の候補者に会話内容が漏れ聞こえる部屋や、区切りのないオープンスペースのような場所で面接を行うのもNGです。

 

通信機器が発達した昨今、誰が何を聞いているのか分からない場で、候補者に対してその過去や価値観を聞くというのも酷な話です。

 

面接を行うにあたっては、ある程度の機密性を持ち、プライバシーに関わることが他に漏れないような場所を確保しましょう。社内に場所がなければ、一時的に賃貸会議室を借りるのも手かもしれません。

 

次に大切にすべきなのは、候補者がリラックスできる環境を整えることです。機密性が高そうでも、狭いところで膝を付き合わせて話をするのは、初対面の候補者にとって心地よいものではありません。

 

また、換気や室温、掃除、受付の応対なども大切で、これらがないがしろにされていると、候補者自身も(入社後も想像して)ないがしろにされている気分にさせてしまいます。

 

席の置き方、特に選考後半の一対一の面接では、現状では向かい合わせる位置に置く「対面式」が大半でしょうが、これは「対決」「上下関係」を示す位置取りをしています。

 

心理学的には、お互いがテーブルの縦の辺と横の辺に直角に座る「斜め対面」の形式が、一番心を開き合うのに適していると言われているので活用を検討します(家庭教師を経験したことのある人なら、お互いが真正面にいるより、斜めの位置に座っていられる方が、やりやすかったのではないでしょうか)。

 

ただ、この「斜め対面式」は、まだ心の通じ合っていない相手や異性に対して行うと、逆に馴れ馴れしい印象を与えて不快感や不安感を抱かせてしまいます。あくまで、「すでに気心の知れた内定に近い相手」への配慮です。

 

面接の一番の目的は、お互いに胸の内を明かし、マッチできそうかどうかを探ることです。採用側は、まずはそのような場所・環境をつくりだすことを心がけましょう。

 

ポイント
•まずは候補者のプライバシーを確保できる空間を、次いでリラックスできる空間を用意する。
•面接会場や受付などの前段階でも候補者を重要視していることを示す。
•お互いに親密な関係が築けた状況であれば、「斜め対面」での面接もおすすめ。

 

次ページ「逆質問」が絶対必要だとされる理由

※本連載は、曽和利光氏の著書『採用面接100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、再編集したものです。

採用面接100の法則

採用面接100の法則

曽和 利光

日本能率協会マネジメントセンター

採用活動における「面接」は、最もポピュラーな採用選考の方法です。 しかし、これほど普及していながら、「人材をきちんと評価できているか?」「うまくコミュニケーションは取れているか?」「内定を出しても辞退されやすいの…

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