ユニクロの柳井氏、ソフトバンクの孫氏…「カリスマ社長」がいつまでも引退しないことによる、あまりにも“大きな代償”

ユニクロの柳井氏、ソフトバンクの孫氏…「カリスマ社長」がいつまでも引退しないことによる、あまりにも“大きな代償”
(※写真はイメージです/PIXTA)

ファーストリテイリングやソフトバンクなどの例をみると、強いリーダーシップを持ったカリスマ社長ほどなかなか引退しない傾向にあります。しかし、高齢になっても社長が引退しないことにより、さまざまな悪影響をおよぼす可能性もあります。本記事では、社長が引退できるのにしない理由とともに、それによっておよぼされる会社への影響についてみていきましょう。

 

引退しない社長が考えるべきこと

もしあなたが社長であれば、ご自身が先ほど挙げた4つのタイプのうち、そこに当てはまるか見てみるといいかも知れません。

 

先に申し上げたとおり、引退するしないは社長の考え方次第です。しかし、自分の考えはいったん置いておいて、ご自身が引退することによって会社に何が起こるのか、引退しないことによって会社になにが起こるのかをよくシミュレーションしてみるのも大切でしょう。

 

引退した社長のその後は?

もしあなたが「引退できるのにしない社長」になってしまっているな、と感じるのであれば、引退後の人生を改めて考えてみるとよいでしょう。これも先に申し上げた通り、社長引退によって起こるアイデンティティ喪失が引退を妨げる大きな要因だからです。引退後に自分のアイデンティティを見つけることがスムースな引退を実現させるのに役立つはずです。

 

■会長職や相談役となる

社長を引退して会長職や相談役になるのは一般的なルートです。ただし、これらの役職には明確な仕事内容が決まっているわけではありません。そのため、社長と会長の二頭政治になり、社内が混乱をきたす可能性もあります。そうならないように、社長、会長の役割を明確にしておくことが大切です。

 

■コンサルタントになる

会長職よりも1歩引いて、コンサルタントとして独立し、会社と契約を結ぶ方法もあります。これだと仕事内容が明確になり、二頭政治のようなことは起こりにくくなります。また、他の会社とも契約を結ぶことで、”引退した社長”ではなく、元ベテラン社長のコンサルタント”というアイデンティティを得ることもできるでしょう。

 

■起業する

新たに起業する手もあります。これまでの人脈を生かして、引退した会社と競合しないようにビジネスを立ち上げる方法です。趣味に没頭する現役時代にはできなかった趣味に没頭し、その道の専門家を目指すのもよいでしょう。ただ、どんな趣味であっても会社経営と比べると刺激が少なく、退屈になってしまう、という人もいるようです。

引退しない社長に困ったら…

この記事をご覧の方のなかには、”引退しない社長(多くの場合、親)がいて困っている”という方もいるかもしれませんね。

 

これまで述べてきたように、社長の引退というのは極めてセンシティブな問題です。社長本人にとってはアイデンティティ=自分の人生に関わる問題であり、社長の引退について話をすることは、社長の死について話すことと同義と捉えられてしまうこともあるからです。

 

本記事で述べたように、社長には引退したくてもできないジレンマがあったりするわけです。それを理解してあげたうえで、じっくりとタイミングを待ち、話をするのがよいでしょう。

 

外部の力を借りるのも手

また、引退しない社長に困っている場合、外部の力を借りることもひとつの手です。手前味噌になってしまいますが、実はご相談の半分以上は、後継社長からなのです。

 

社内では誰も社長の引退について触れることができなくても、外部の人間が入って経営に関して話を進めることによって、次のリーダー育成をどうしていくか、スムースに話を切り出せます。

 

本記事では、「引退しない社長」について、データや事例、考察を述べてきました。特に明確な結論がある記事ではなかったですが、現役社長は自分の引退の仕方について考えるきっかけにしていただき、社長の周りの方は、社長の気持ちを理解するために活用していただければと思います。

 

 

清水 直樹

仕組み経営株式会社 

代表取締役

 

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