できるのに「引退しない社長」の特徴
「引退できるのにしない社長」には特徴があります。それは、君主型経営者か、将軍型経営者のどちらかである、ということです。
経営者の4類型
「トップリーダーの引退」著者のジェフリー・ソネンフェルド氏は、膨大なリサーチの結果、社長のタイプには、以下の4つがあると指摘しています。
2.将軍型経営者
3.大使型経営者
4.知事型経営者
それぞれ特徴をみてみましょう。
1.君主型経営者
優れたビジョンを持ち、会社を素晴らしく成長させる。就任当初に掲げたビジョンをもとに組織をリードするが、そのビジョンが時代の変化とともに、ビジョンが疑問視されるようになると困難し、成長も権限移譲もできない状況になる。そのため、他界するか、社内クーデターが起きるまで引退しない。
一言でいえば、”死ぬまで現役でいることになんの疑問も持たない経営者”。
2.将軍型経営者
優れたビジョンを持ち、会社を素晴らしく成長させることは君主型と同じ。君主型と異なるのは、いつか引退しないといけないことはわかっており、後継者や人材の育成に力を入れている。
しかし一方、新しいリーダーが登場すると、彼らが自分と対立しているように感じるようになり、組織内に自分の仲間を創るような行為を行う。表向きには引退に未練はないといっているが、内実は引退したいと思っていない。そのため、引退したとしても、後任者の不適任などを理由に、もう一度経営の最前線へと返り咲こうとする。
一言でいえば、”やっぱり自分がいないとダメだと考えている経営者”。
3.大使型経営者
君主型、将軍型と異なり、スムースに引退を迎える。多くの場合、会長職や相談役などにとどまり、新しい経営陣への助言役として会社に関わり続ける。また、対外的には会社の代表として活動を続けることもある。
一言でいえば、”会社を子供のように育てる経営者”。
4.知事型経営者
スムースに引退を迎える点では大使型と同じだが、引退後には会社と関わることはなく、完全に新しい人生を送る。たとえば、地域活動に携わる、新しく起業する、コンサルタントとして活躍する、など。
一言でいえば、”期間限定の経営者”。
「君主型」と「将軍型」は引退しない
ソネンフェルド氏は、上記4つのタイプのうち、君主型、将軍型は引退しない社長である、といいます。冒頭に例を出した、永守氏、柳井氏、孫氏は君主型まではいかないにしろ、将軍型に近いタイプかなと思います。逆に大使型、知事型の経営者は引退することに抵抗がないわけです。
しかし、だからといって、「君主、将軍ではいけないというわけでもない」のが難しいところです。なぜならば、たしかに君主、将軍は引退しないことによって会社に悪影響を与えることもあるのですが、同時にその高い実力によって、会社を素晴らしく成長させることもあるからです。
以下の図表は、それぞれの経営者が会社に与えるいい影響、悪い影響をまとめたものです。
これをみるとどれも一長一短ですね。個人的には”大使型”になるのが理想かな、と思いますが、あなたはどうでしょうか?
「創業社長」ほど引退しない
上記の分類とは別に、一般的に、創業社長ほど、引退しない傾向にあります。ソネンフェルド氏によると、これには理由があるそうです。それは、引退するかどうかは、その人のアイデンティティに大きくかかわっているからです。
社長としての在任期間が長ければ長いほど、自分と会社を切り離せなくなります。若くして創業した社長の場合、在任期間は何十年にもなります。つまり、「会社=我が人生」となるわけです。
そのため、引退して会社という存在を失うことは、”人生”そのものが無くなるのと同じになってしまうのです。会社経営以外に自分のアイデンティティを見つけない限り、彼らは引退しようとしない傾向にあります。
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