ルールを定着させるために…「賞罰」の明確化が必要
人に大きな影響を与えるルールの1つに評価があります。『韓非子』では「規格外の賞」と「情を排した厳罰」がルールを定着させるために必要であるとしています。
現代の実社会でも、ルールを定着させるためには賞罰を明確したほうがよいといえます。ルールを破っても許される組織では、ルールの定着は難しいものとなってしまうからです。
評価に関して、仕事のパフォーマンスに応じて昇格と降格は明確に、ルールに則って進めることが重要であり、特に降格や減給の仕組みも設定していなければなりません。評価は明確な基準のもと行っていきますが、ルールの順守は評価には入れません。ルールを守ることは大前提であり、ルールを破っていたら評価にすら値しません。ですから、ルール違反は罰則という考え方になるのです。
「ルール」に頼って「人」に頼らず
人によって持っている能力も違えば知識や経験も違うので、発揮するパフォーマンスは個々人によって変わってくるでしょう。『韓非子』では、人に頼って組織運営をしてはいけないとしています。人のパフォーマンスを最大化するのが制度であり、制度設計こそリーダーがしなければいけない仕事であるという考えです。
物事がうまくいかなかった際にはルール設定に問題があると判断します。そこに「部下の能力が足りなかったから」という個人に起因する要因で完結させることを否定しています。個人批判をすると、それ以降の改善につながりません。
組織拡大が採用に依存するようになりますが、採用はギャンブル性があります。欲しい人物像も変わっていくので非効率的です。社員1人ひとりに自らの能力を認識してもらい、組織は個人の能力が最適化されるようにルール設定をしていくという考え方です。また、戦略認識や優先順位、戦略を進めていくうえでの前提条件などに関する各人の認識がずれている場合、求める方向へ最速で進んでいくことはできません。
これらの認識がずれていたらそれはルールが不明確だったり、不足していたりするということにほかならず、即座にルールの再設定が必要です。それを繰り返すことで部下が集中し、認識のズレなく戦略を実行に移すことができるようになります。