「ウチは常に“他店より安く”。」エブリデイ・ロープライスを実行した老舗デパートの大誤算…無自覚で恐ろしい消費者心理

「ウチは常に“他店より安く”。」エブリデイ・ロープライスを実行した老舗デパートの大誤算…無自覚で恐ろしい消費者心理
(※写真はイメージです/PIXTA)

伝統的な経済学では、人はいつでもどこでも合理的であると仮定しますが、現実の私たちは損得計算や行動を間違えることも珍しくありません。税抜価格を表示すると売上が上がったり、200円よりは198円にするなど、キリの悪い数値にした方が割安に感じられたり…。太宰北斗氏の著書『行動経済学ってそういうことだったのか! -世界一やさしい「使える経済学」5つの授業-』(ワニブックス)より一部を抜粋し、「消費者が感じる“お得感”の不思議」を見ていきましょう。

まとめ:時に、企業努力を水の泡にする消費者心理

結局、消費者が品質か価格かどちらかに関心を払うかで、企業が考える商品の魅力も、差別化のポイントも、大きく変わってしまいます。

 

消費者が価格に関心を払う家電量販店などの業界では、多少のサービス品質の向上は気にも留められないかもしれません。

 

高級輸入車などの業界では、多少の割引は意味がないかもしれません。

 

でも本当に難しいのは、何がセイリアントと捉えられるかは、消費者が抱えるコンテクストなどにも影響されていて、企業努力だけではなんともしがたい点です。

 

出所:太宰北斗著『行動経済学ってそういうことだったのか! -世界一やさしい「使える経済学」5つの授業-』(ワニブックス)
【図表】 時に、企業努力を水の泡にする消費者心理 出所:太宰北斗著『行動経済学ってそういうことだったのか! -世界一やさしい「使える経済学」5つの授業-』(ワニブックス)

 

 

太宰 北斗

名古屋商科大学 商学部 准教授

 

慶應義塾大学卒業後、消費財メーカー勤務を経て、一橋大学大学院商学研究科博士後期課程修了。一橋大学大学院商学研究科特任講師を経て現職。専門は行動ファイナンス、コーポレートガバナンス。

第3回アサヒビール最優秀論文賞受賞。論文「競馬とプロスペクト理論:微小確率の過大評価の実証分析」により行動経済学会より表彰を受ける。

競馬や宝くじ、スポーツなど身近なトピックを交えたり、行動経済学で使われる実験を利用した投資ゲームなどを行ない、多くの学生が関心を持って取り組めるように心がけた授業を行う。

※本連載は、太宰北斗氏の著書『行動経済学ってそういうことだったのか! -世界一やさしい「使える経済学」5つの授業-』(ワニブックス)より一部を抜粋・再編集したものです。

行動経済学ってそういうことだったのか! -世界一やさしい「使える経済学」5つの授業-

行動経済学ってそういうことだったのか! -世界一やさしい「使える経済学」5つの授業-

太宰 北斗

ワニブックス

「税抜価格を表示したら売上が上がる!?」 「経済学を学ぶと所得が上がる!?」 「競馬で賭けるなら“本命” “大穴”は外すべき!」 「3割バッターが最終試合を休む理由とは?」etc. “リアルに得する経済学”をおもしろい…

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