まとめ:時に、企業努力を水の泡にする消費者心理
結局、消費者が品質か価格かどちらかに関心を払うかで、企業が考える商品の魅力も、差別化のポイントも、大きく変わってしまいます。
消費者が価格に関心を払う家電量販店などの業界では、多少のサービス品質の向上は気にも留められないかもしれません。
高級輸入車などの業界では、多少の割引は意味がないかもしれません。
でも本当に難しいのは、何がセイリアントと捉えられるかは、消費者が抱えるコンテクストなどにも影響されていて、企業努力だけではなんともしがたい点です。
太宰 北斗
名古屋商科大学 商学部 准教授
慶應義塾大学卒業後、消費財メーカー勤務を経て、一橋大学大学院商学研究科博士後期課程修了。一橋大学大学院商学研究科特任講師を経て現職。専門は行動ファイナンス、コーポレートガバナンス。
第3回アサヒビール最優秀論文賞受賞。論文「競馬とプロスペクト理論:微小確率の過大評価の実証分析」により行動経済学会より表彰を受ける。
競馬や宝くじ、スポーツなど身近なトピックを交えたり、行動経済学で使われる実験を利用した投資ゲームなどを行ない、多くの学生が関心を持って取り組めるように心がけた授業を行う。