(※写真はイメージです/PIXTA)

今後の企業による採用活動は期間の決まった「一括採用」ではなく、期間を限定せず年間を通じて採用活動を行う「通年採用」が主流になっていくと、600社の企業に新卒採用などの組織変革コンサルティングを実施する株式会社Legaseedの近藤悦康代表はいいます。この採用方法は、すでにユニクロやソフトバンクなどが先行して実施しているものです。なぜ変わっていくのでしょうか? データとともに人材市場の現状を紐解いていきます(最新情報は同社HPよりご参照ください)。

 

「一括採用」から「通年採用」へシフトする

通年採用は、新卒だけでなく、留学生や海外の大学の卒業者など多様な人材を対象にアプローチができ、採用スケジュールを企業が自由に決められるのが特徴です。欧米では一般的な採用手法ではありますが、日本では採用活動が学業の妨げにならないよう制限が設けられていたため、新卒に関しては「通年採用」ではなく「一括採用」を行う企業が多数を占めていました。

 

ところが近年、採用マーケットが世界に広がったことで、日本の採用活動でもグローバルスタンダードが求められるようになり、同時に多様な働き方を模索しようとする動きが加速する中で、企業や学生を取り巻く環境が変わり始めています。その結果、新卒採用も中途採用同様に、一括採用から通年採用へ移行する流れが生まれてきています。

 

例えば、株式会社ファーストリテイリングは、新卒・中途、また国籍を問わず、通年採用を行っています。「大学1、2年生の受け入れ」や「1年に1度採用に応募でき、期が変われば再チャレンジ可能」など、独自の採用手法を積極的に導入しているのが特徴です。

 

ソフトバンク株式会社では、「既存の採用モデル、採用手法にとらわれることなく、会社の成長に伴って常に変えていくことが必要である」という考えのもと、「ユニバーサル採用」という通年採用を実施しています。入社時点で30歳未満という条件を満たしていれば、新卒・既卒を問わず、いつでも誰でも応募できます。入社時期も4月、10月などと選ぶことができるようです。

 

株式会社メルカリは、新卒採用を始めた2015年以降、中途同様に新卒を通年採用しています。会社が急成長する過程で、「必要な時に必要な人材を採用する」必要があり、通年採用を行ってきています。インターンシップからの採用が最も多く、その他にもエンジニア志望の学生が集まるイベントでの接触や既存の社員からの紹介・推薦といったリファラル採用などにも注力しています。

 

通年採用の考えは、新卒の入社タイミングが4月という枠にとらわれる必要もありません。必要な時期に必要な人材を、必要な人数採用する発想なので、事業の状況に応じて柔軟に採用活動を進められます。ただし、通年採用は一括採用と比べ、採用期間が長期化し、採用にかかるコストや工数が増加する傾向にあります。

 

また、通年採用を学生側から見ると、企業がじっくりと時間をかけて選考を進めるため、従来よりも能力、実務面が重視され、選考のハードルが高くなると考えられます。さらに、一括採用のように採用スケジュールが決められているわけではないため、自分で計画を立て、自発的に就職活動を行っていくことが必要になるでしょう。

 

 

近藤 悦康

株式会社Legaseed

代表取締役CEO

 

※本記事は、近藤悦康氏の著書『99%の会社が知らない「超・デジタル採用術」 オンラインでも応募者の心は「見える化」できる!』(徳間書店、2022年1月29日刊)から一部を抜粋し、再編集したものです。

99%の会社が知らない「超・デジタル採用術」 オンラインでも応募者の心は「見える化」できる!

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