対面とオンライン、どちらで採用活動するべきか?
新卒採用活動において、新型コロナウイルスの影響で最も変わったことは、オンライン化が一気に進んだということです。以前は対面での選考が当たり前でしたが、学生の側にオンラインを活用する意識が高まり、会社説明会から最終面接まで全工程オンラインでよいという声も約40%に上ります。全工程対面が望ましいと考える学生はわずか6.3%になっています。
実際に会社説明会は、対面実施するよりもオンラインで実施することで、学生の参加率が前年より上がったと回答する企業の割合が高くなっています。学生と接点をもちやすくなっているのです。当社でも、地方の学生や海外に留学している学生などの応募が増えました。学生の時間や金銭的な制約など、参加のハードルを下げることができるのも大きなメリットです。
新卒採用活動を行っている企業のうち、約35%が会社説明会と1次面接はすべてオンラインで実施しています。逆に最終面接は67.2%が対面で行い、選考フェーズによって使い分けています。
今後の傾向としては、現場での見学・仕事体験は「対面」、レクチャーやグループワーク、社員との交流会は「オンライン」で実施する企業が多くなるでしょう。
インターンシップの実施もオンライン開催が広がり、インターンシップ参加者の95%がオンライン形式のインターンシップを経験しています。特に、上場企業では、非上場企業の約2倍近い割合でオンライン開催を行っています。
コロナ禍におけるインターンシップの手法を各企業が模索した結果、よりオンライン化が加速したと考えられます。そして、株式会社リクルートの「2023年卒 インターンシップ・就職活動準備に関する調査」によると、インターンシップに参加した学生の満足度は対面が90.0%、オンラインの満足度も88.1%と、ほぼ同水準となっています。
またオンラインで参加したプログラム別に満足度を見ても、「職場や工場の見学」「社員の補助的な業務の一部を経験する」などオンラインで実施するのが難しく思えるような内容でも、満足度は前年と比べて高くなっています。インターンシップにおいても、よりオンラインの活用や工夫が進んでいる様子がうかがえます。
企業の選考方法に関する調査では、この後コロナが収束すると仮定した場合、「すべてオンラインで実施」は1.1%と少数派になり、多くは対面とオンラインを使い分けるという回答になっています。
また、「すべて対面で実施」の企業は20%以上あり、オンラインに不慣れ、抵抗感のある採用担当も一定数いることがわかります。オンラインの利便性を生かしつつ、効果的な使い分けがより進むと考えられる一方、対面にこだわることで他社との差別化を図る企業も現れるでしょう。
大切なことは学生視点に立つことです。もしも、会社説明会を対面で開催する際に、一箇所に集められ、採用担当者が会社紹介をスライドで説明するのを座って聞いているだけだとしたら、参加した学生は、この内容だったらオンラインでいいのでは? と疑問に思うでしょう。 学生たちは、オンラインが当たり前の世代です。リアルな場に集まるときにはそれに値するだけの価値を期待しますし、オンラインの選択肢がない時点で候補から外すことも考えられます。
まずは、本当に対面でなければいけないことと、学生の利便性を考えてオンライン実施でも可能なものを整理することから始めるとよいでしょう。