一度も直接会わずに内定のケースも…「オンライン」での「新卒採用」、学生側の本音は? (※写真はイメージです/PIXTA)

新型コロナウイルスの流行により、採用活動のオンライン化が進みました。なかには、内定まで一度も学生と対面しないケースもあると、600社の企業に新卒採用などの組織変革コンサルティングを実施する株式会社Legaseedの近藤悦康代表はいいます。採用される側の学生はオンラインでの採用活動をどのように感じているのでしょうか? データとともに紐解いていきます。

 

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対面とオンライン、どちらで採用活動するべきか?

新卒採用活動において、新型コロナウイルスの影響で最も変わったことは、オンライン化が一気に進んだということです。以前は対面での選考が当たり前でしたが、学生の側にオンラインを活用する意識が高まり、会社説明会から最終面接まで全工程オンラインでよいという声も約40%に上ります。全工程対面が望ましいと考える学生はわずか6.3%になっています。

 

実際に会社説明会は、対面実施するよりもオンラインで実施することで、学生の参加率が前年より上がったと回答する企業の割合が高くなっています。学生と接点をもちやすくなっているのです。当社でも、地方の学生や海外に留学している学生などの応募が増えました。学生の時間や金銭的な制約など、参加のハードルを下げることができるのも大きなメリットです。

 

新卒採用活動を行っている企業のうち、約35%が会社説明会と1次面接はすべてオンラインで実施しています。逆に最終面接は67.2%が対面で行い、選考フェーズによって使い分けています。

 

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[図表1]左:フェーズ別オンライン活用情報、右:「対面」、または「オンライン」での実施について、考えに一番近いもの出典:マイナビ2022年卒「企業採用活動調査」(2021年6月)
   マイナビ2022年卒「大学生活動実態調査」(2021年3月)

 

今後の傾向としては、現場での見学・仕事体験は「対面」、レクチャーやグループワーク、社員との交流会は「オンライン」で実施する企業が多くなるでしょう。

 

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[図表2]左:22年卒オンラインで実施したこと、右:23年卒実施したこと・実施する予定出典:マイナビ2022年卒「企業採用活動調査」

 

インターンシップの実施もオンライン開催が広がり、インターンシップ参加者の95%がオンライン形式のインターンシップを経験しています。特に、上場企業では、非上場企業の約2倍近い割合でオンライン開催を行っています。

 

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[図表3]左:22年卒インターンシップでのオンライン活用状況、右:【参加者限定】これまでに参加したインターンシップの開催形式出典:マイナビ2022年卒「企業採用活動調査」(2021年6月)
   マイナビ2022年卒「大学生活動実態調査」(2021年3月

 

コロナ禍におけるインターンシップの手法を各企業が模索した結果、よりオンライン化が加速したと考えられます。そして、株式会社リクルートの「2023年卒 インターンシップ・就職活動準備に関する調査」によると、インターンシップに参加した学生の満足度は対面が90.0%、オンラインの満足度も88.1%と、ほぼ同水準となっています。  

 

またオンラインで参加したプログラム別に満足度を見ても、「職場や工場の見学」「社員の補助的な業務の一部を経験する」などオンラインで実施するのが難しく思えるような内容でも、満足度は前年と比べて高くなっています。インターンシップにおいても、よりオンラインの活用や工夫が進んでいる様子がうかがえます。

 

企業の選考方法に関する調査では、この後コロナが収束すると仮定した場合、「すべてオンラインで実施」は1.1%と少数派になり、多くは対面とオンラインを使い分けるという回答になっています。

 

また、「すべて対面で実施」の企業は20%以上あり、オンラインに不慣れ、抵抗感のある採用担当も一定数いることがわかります。オンラインの利便性を生かしつつ、効果的な使い分けがより進むと考えられる一方、対面にこだわることで他社との差別化を図る企業も現れるでしょう。  

 

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[図表4]23年卒の採用選考実施方法について(コロナが収束したと仮定)出典:マイナビ2021年卒「企業採用活動調査」(2020年6月)

 

大切なことは学生視点に立つことです。もしも、会社説明会を対面で開催する際に、一箇所に集められ、採用担当者が会社紹介をスライドで説明するのを座って聞いているだけだとしたら、参加した学生は、この内容だったらオンラインでいいのでは? と疑問に思うでしょう。 学生たちは、オンラインが当たり前の世代です。リアルな場に集まるときにはそれに値するだけの価値を期待しますし、オンラインの選択肢がない時点で候補から外すことも考えられます。

 

まずは、本当に対面でなければいけないことと、学生の利便性を考えてオンライン実施でも可能なものを整理することから始めるとよいでしょう。

 

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株式会社Legaseed 代表取締役CEO

1979年、岡山県生まれ。アチーブメント株式会社に新卒第1号で入社し、数々の新規事業を立ち上げながら、口コミで集まる人材採用の仕組みを構築し、年間2万人以上が応募するに人気企業へと飛躍させる。

2013年、株式会社Legaseedを設立。「はたらくを、しあわせに」を企業理念に600社の企業に新卒採用、人材育成、人事制度設計などの組織変革のコンサルティングを実施。また、会社経営者、ビジネスパーソン、新卒学生など、延べ10万人を超える人たちにセミナーやワークショップを行う。同社は、年間1万7,000名を超える学生が応募する人気企業となり、「楽天みん就」で学生が選ぶ「2021年卒インターン人気企業ランキング」で10位(2021年調べ)。成長が期待されるベンチャー企業100社として、2022年「ベストベンチャー100」に選出される。

主な著書に『99%の会社が知らない「超・デジタル採用術」 オンラインでも応募者の心は「見える化」できる!』(徳間書店)、『日本一学生が集まる中小企業の秘密』(徳間書店)、『社長のための、会社を潰さない人材採用術内定辞退ゼロ』(実業之日本社)、『伸びてる会社がやっている「新卒」を「即戦力化」する方法』(クロスメディア・パブリッシング)がある。

著者紹介

連載コロナで激変した人材採用…応募者の心を「見える化」できる採用DX

※本記事は、近藤悦康氏の著書『99%の会社が知らない「超・デジタル採用術」 オンラインでも応募者の心は「見える化」できる!』(徳間書店、2022年1月29日刊)から一部を抜粋し、再編集したものです。

99%の会社が知らない「超・デジタル採用術」 オンラインでも応募者の心は「見える化」できる!

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近藤 悦康

徳間書店

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